司法書士は実務経験なしで開業できる?未経験で独立成功を目指す戦略と手順を解説
司法書士を志す方のなかには、「司法書士試験に合格したら、実務経験なしで即独立したい」と考える方もいるのではないでしょうか。
未経験で司法書士として開業するためには、実務経験を積んでから独立する場合よりも徹底した対策や工夫が必要です。
この記事では、実務経験なしで司法書士として独立開業するための手順や、顧客を獲得して独立を成功させるためのポイントを解説します。
実務経験なしで司法書士になれる?
結論からいうと、実務経験なしでも司法書士になることは可能です。
司法書士試験に合格して必要な手順を踏めば、すぐにでも独立開業することができます。
ただし、実務経験なしで司法書士になることは、容易な道ではないということを念頭においておく必要があります。
実務経験を積んで開業する司法書士がほとんど
実務経験なしで司法書士になることは可能ですが、現実としては既存の司法書士事務所で実務をこなしながら、基本的な司法書士業務の流れや運営ノウハウを学んでから独立する人がほとんどです。
実際に独立開業するまでに司法書士としての実務経験期間をどれくらいとるかは人により異なりますが、3年程度の実務経験を積む人が多い傾向にあります。
実務経験なしで独立することも不可能ではない
実務経験なしで独立開業し、安定して運営をしていくためには事前準備や工夫が重要です。
司法書士の仕事は重要書類の作成など、間違いが許されない業務ばかりです。
やり直しがきかないからこそ、入念な対策を心がけましょう。
実務経験なしでの独立には配属研修が必要不可欠
前提として、司法書士が独立開業をするためには「新人研修」が必要です。
司法書士試験に合格した後には新人研修が用意されており、下記の3つの研修を修了することで司法書士になることができます。
- 中央新人研修
- ブロック新人研修
- 司法書士会新人研修(配属研修)
このうち、3つ目の「司法書士会新人研修」のことを通称「配属研修」と呼びます。
これらの新人研修のうち、中央新人研修とブロック新人研修の2つは、司法書士になるためには必ず受講しなければならないものです。
一方、配属研修は一部必須になっている地域の司法書士会を除けば、希望者のみが受講するものとなっています。
配属研修は、実際に司法書士事務所に配属されて、事務所が取り扱う案件をもとに実務を学ぶことが目的です。
既存の司法書士事務所で勤務することなく実務経験なしで独立開業をする場合、この配属研修の期間中にどれだけ実務について吸収できるかが勝負になります。
既存の司法書士事務所に勤務するという人は配属研修を受講しない人も多いですが、実務経験なしで独立開業をする人は必ず受講しましょう。
司法書士試験合格後の新人研修の流れ
新人研修がどのようなものなのか気になる方もいるのではないでしょうか。
以下では、司法書士試験合格後の新人研修の流れを紹介します。
1.中央新人研修
日本司法書士会連合会が実施する研修で、司法書士制度の歴史をはじめ、司法書士業務の成り立ちや司法書士としての責任や倫理など、司法書士としての基本を学ぶことが目的です。
中央新人研修はeラーニングで行われるので、好きな時間に好きな場所で受講することができます。
講義動画を視聴し、途中で課される「効果確認問題」を解くという流れで、視聴期間内に約37時間分の映像講義を全て視聴することで修了です。
中央新人研修の実施期間は12月から翌年1月で、地域によって2つの日程に分かれて受講するようになっています。
最新の令和6年度の実施日程は、下の表のとおりです。
グループ(地域) | 実施日程(視聴期間) |
---|---|
北海道・東北・中部・近畿・中国・四国・九州ブロック | 令和6年12月10日(火)0時00分~12月27日(金)23時59分 |
関東ブロック | 令和7年1月6日(月)0時00分~1月23日(木)23時59分 |
なお、受講には受付期間内に専用サイトからの申し込みが必要で、費用は44,000円です。
参考までに、令和6年度の受付期間は令和6年11月5日(火)00時00分から11月18日(月)23時59分まででした。
その年に定められた期間を過ぎてしまった場合や定員に達してしまった場合は受講ができないので注意しましょう。
2.ブロック新人研修
ブロック新人研修は、実務で必要となる知識を学ぶことが目的です。
ブロック新人研修は、北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州の全国8つのブロック会で実施されます。
原則、勤務予定地または開業予定地のブロックで受講することになっていますが、例外として、予定地のブロック会の研修が定員に達している場合はほかのブロックへの申し込み・受講が認められます。
実施日程と日数や形式はブロックによって異なるので、開業予定地のブロック会の情報をよく確認しましょう。
最新の令和6年度の実例は、下の表をご覧ください。
ブロック | 実施方法 | 実施日程 |
---|---|---|
北海道 | 集合形式 | 1月下旬~2月上旬 |
東北 | 集合形式 | 1月中旬 |
関東 | 集合形式&Web形式 | 12月中旬~1月中旬 eラーニング35時間+集合2日間 |
中部 | 集合形式 | 1月中旬 |
近畿 | 集合形式 | 12月中旬~1月中旬 |
中国 | 集合形式 | 1月中旬 |
四国 | 集合形式 | 1月中旬 |
九州 | 集合形式 | 1月中旬 |
実施時期は1月中旬ごろに設定されているブロックが多いですが、12月中旬ごろから開始するブロックもあります。
日程についても、まとまった1週間程度の期間に連続して実施するブロックが多いものの、一部毎週末に実施するブロックもあるので、日程はよく確認しましょう。
なお、集合形式の研修の時間はどのブロックも共通で9時〜17時、費用は33,000円です。
3.司法書士会新人研修(配属研修)
「司法書士会新人研修」は通称「配属研修」と呼ばれ、各都道府県の司法書士会ごとに実施される研修です。
一定期間、実際に司法書士事務所に配属されて実務を学びます。
中央新人研修とブロック新人研修が必須であるのに対し、配属研修は希望者のみとなっていることが多いのが特徴です。
なお、配属研修の時期や日程、費用などは司法書士会によって異なるので、自分の所属予定の司法書士会へ確認してください。
配属研修は司法書士会が指定する研修指導員事務所で実施され、配属先も司法書士会から指定されます。
申込書には、受講希望地や特に指導を希望する分野などを選択する欄が設けられているので、それらの内容が加味されたうえで、隣接する市の事務所が配属先になる傾向にあります。
司法書士の配属研修の重要性
既存の司法書士事務所へ勤めずに実務経験なしで司法書士として独立開業をする場合、配属研修の重要度はきわめて高いです。
特に配属研修期間に力を入れておきたいこととして、以下の内容が挙げられます。
- 幅広い業務内容を実際に経験する
- 司法書士事務所の運営の流れを覚える
- 先輩司法書士とコミュニケーションをとって疑問を解消する
前提として、司法書士が取り扱う業務は難易度が高いものが多いので、実務としてはじめて取り扱うことは容易なことではありません。
そのため、配属研修で可能な限り幅広い案件への対応方法を学んでおくことが重要です。
配属研修では、事務所で受任した実際の案件をもとに、書類の作成方法や各種申請方法、報酬の決め方など、司法書士として独立開業をするにあたって必要最低限の内容を一通り指導してもらえます。
先輩司法書士と円滑なコミュニケーションをとって、限られた時間のなかでも、より多くのことを積極的に学び、日々生じる疑問を解消していくことが求められます。
実務経験なしで司法書士事務所を開業する手順
実務経験なしで独立開業する場合の基本的な手順は、下記のとおりです。
- 新人研修を受ける
- 独立開業の事業計画を立てる
- 事務所や設備等の準備・契約をする
- 司法書士会への登録申請を行う
- 人脈作り・営業を並行して行う
このうち、2以降のステップについても、新人研修の期間に可能な限り並行して動いておくことが重要です。
それぞれの手順について、一つずつ見ていきましょう。
1.新人研修を受ける
司法書士試験に合格したら、まずは新人研修を受けることが必要であることは、ここまでもお伝えしてきたとおりです。
特に、中央新人研修とブロック新人研修を修了した後の配属研修で、独立開業後に必要な実務に関する知識と経験を得ることが重要です。
疑問を解消できるよう、日々の案件の対応方法をしっかりと学びましょう。
2.独立開業の事業計画を立てる
実務経験なしで独立開業するためには、事業計画を立てることも重要です。
司法書士として実務経験なしで独立開業をするということは、実績がゼロの状態で事務所を持つということになります。
そのため、開業してからしばらくの間は顧客の獲得に苦労することも考えたうえで現実的な事業計画と資金計画を立てる必要があります。
特に開業資金を融資でまかなう場合は、資金計画に具体性や信頼性をもたせなければなりません。
具体的な数字を盛り込み、いつごろにどの程度の売上が見込めるのかを予測計算して慎重に計画を立てる必要があります。
新人研修の期間中に少しずつ事業計画を進めておくことをおすすめします。
3.事務所と設備等を準備する
司法書士として独立開業をするにあたって、必要不可欠なのが事務所と設備の準備です。
事務所を開く地域をある程度絞り込んだら、物件を探して内見を進めていく必要があります。
すぐに条件の良い物件が見つかるという保証はないので、時間に余裕を持って動き出すことをおすすめします。
4.司法書士会への登録申請をする
事務所の開業準備が整ったら、司法書士会への登録申請を行いましょう。
司法書士登録の手続きは、司法書士事務所を置く地域を管轄する法務局または地方法務局管轄区域内の司法書士会を経由して行います。
具体的な登録手続きの方法は、所属する予定の司法書士会へ確認してください。
また、開業をしたら開業届を税務署に提出し、確定申告を青色申告で行えるようにしておきましょう。
確定申告を青色申告で行えるようになることで、さまざまな面で節税効果が得られるので、忘れないように早めに手続きしておくことをおすすめします。
5.営業活動・集客を行う
司法書士事務所を設立しただけでは新規顧客獲得はないに等しいため、顧客獲得に向けた営業活動と集客を行う必要があります。
営業や集客の方法はさまざまですが、そのなかで特に重要なものとして「人脈作り」と「Web集客の活用」の2つが挙げられます。
人脈作りとWeb集客の活用は、いずれもすぐに結果に直結する容易なものではなく、ある程度時間をかけて形成していく部類のものです。
やはり、新人研修期間や事業準備の期間のうちから取り組み始めておくことが重要といえます。
実務経験なしで司法書士が開業を成功させるには
司法書士にとって独立開業をすることはゴールではありません。
顧客を獲得して、司法書士事務所の運営を成功に導くには工夫や努力が必要です。
以下では、実務経験なしで司法書士が独立開業を成功させるために重要なポイントを4つ紹介します。
配属研修で実際の業務を経験する
配属研修で実際の業務を経験して少しでも多くの実務に関する知識を身につけることが重要です。
配属研修という限られた期間のなかでどれだけ実務について吸収して自分のものにできるかが、独立開業の成功と失敗を分けるといっても過言ではありません。
実務経験なしで独立開業を成功させるために、積極的な姿勢で配属研修に臨みましょう。
研修の配属先事務所と良好な関係性を築く
研修の配属先事務所と良好な関係性を築くことのメリットとして、下記の内容が挙げられます。
- 独立開業に必要な知識と情報を教えてもらいやすくなる
- 独立した後も案件について困ったことを相談できる
実務経験なしで独立開業する以上、既に開業していて豊富な知識を持っている事務所と関われる機会は貴重です。
なお、配属先研修で配属された事務所には、研修終了後にすぐ独立開業をする予定であることを伝えたうえで研修に臨むことをおすすめします。
場合によっては、研修期間の延長や研修内容の拡大など、通常の配属研修以上に協力してもらえることもあります。
配属先事務所と良好な関係性を築けるよう、信頼してもらえるような行動を心がけましょう。
先輩や同期の司法書士と繋がりを持つ
配属先の事務所と良好な関係性を築いて何でも相談できる環境ができていることが理想ですが、相手方の都合などもあるので必ずしも実現できるとは限りません。
そのため、先輩や同期の司法書士と繋がりを持って相談できるようにしておくことも重要です。
何か一つに頼りきりになるのではなく、いくつか頼れるところを作っておくと安心といえるでしょう。
Web集客を活用する
司法書士が独立開業を成功させるために、Web集客の活用は必要不可欠です。
デジタル化が進む現代では、司法書士探しをする際にインターネット検索を利用する人が多い傾向にあります。
実務経験なしで独立開業をする場合は特に、Web集客を活用して少しでも多くの人に事務所を知ってもらい、顧客獲得のチャンスを広げることが重要です。
実務経験なしで司法書士として開業するならWeb集客を活用しよう
実務経験なしで独立開業する場合、Web集客を活用して少しでも多くの人に事務所の存在を知ってもらうことから依頼につなげることが重要です。
しかし、開業後に何の心配もなく安定して依頼を受けられるようになるまでには、ある程度長い期間が必要になります。
実務に関する経験が乏しいため、少なくとも軌道に乗るまでの期間中、司法書士業務以外へ割ける時間は全くないといっても過言ではありません。
そのため、Web集客はプロへの依頼が必要不可欠です。
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