静岡の雛人形工房
株式会社左京 インタビュー
売上を1年で3倍に伸ばした商品販売経路設計
ストーリー概要
左京さんとの出会いは2019年コロナ禍の始まりの頃。
売上を伸ばしたい、効率的に販売したい。
という話から、全体の販売戦略を一緒に考えていくことになる。
商品コンセプトの設計、販売戦略の見直し、広告戦略立て直しからの、試行錯誤でなんやかんやの結果、初年度で実績で前年の2.8倍ほどの売上を作った。
ECの再構築から1年足らずで、店舗売上をオンラインDtoC売上が追い抜き、翌年、翌々年もその売上を毎年更新している。
売上をあげるため、成長させるためにとった施策と、成長を続けている理由を左京さん目線から語っていただいています。
※2022年2月24日に静岡県ツインメッセで行われたするがクリエイティブの講演会の内容をベースに構築しています
Site date
Client | 株式会社左京 |
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URL | https://sakyou.co.jp/ |
Project | ECサイト・オフィシャルサイト |
ECサイトを自分で作ってみた【望月談】
ECサイトを稲垣さんと一緒に構築する前に、実は自社でBASEを使ったECサイトの仕組み自体は構築していました。とはいえご多分に漏れず、そこから雛人形が売れていくということはなく、そのまま放置状態で、どこがいいのかさえわからない、改善方法が見つからない状態でした。
別でSNSについてはコツコツ取り組みがあったので、そこからメールのやり取りで販売なんかもしていたのですが、「ここの色を変えてほしい」「この組み合わせは試せますか?」なんていう細かいやり取りをメールで行っていると、本当に毎日1時とか2時まで対応してやってるという状態が2年くらい続きました。
そのときから「自動的に買ってくれるようにならないかな」っていうのはずっと思ってて、その辺を稲垣さんにまるっと相談していた感じです。
実際は他にも結構 ECサイトを作る業者さんに相談してて、200万ですよとか、うち50万円で作りますとかいろいろ言われてたんですけど、、、
からの振り出しに戻る
稲垣さんに相談した時に最初に「まず、作ったところで人こないと思うよ」みたいなこと言われて、そこから考えなきゃねっていうところでなんか本当に振り出しに戻った感じになりました笑
このままECを新たに作り直したとしても売れるかどうかよく分からない。という前提で、売れるという確証が持てるところまで設計をしていかなければならないというのを共通認識として持ちながら進めていきました。
その中から業界や差別化についても一緒に考えていくことになります。
課題の認識
業界として
雛人形業界は、皆さんなんとなくわかるかもしれませんけど、毎年市場が小さくなっていっているような業界なんですね。
子供の数は減っていますし、昔は七段飾りとか割と普通にご家庭にあったんですが、今はお内裏様とお雛様くらいです。単価も落ちている。
小さくなっていくパイの中でいかにシェアをとっていくかという戦いになっています。
価格を上げたい
その中でもクオリティを上げていかないといけないという課題もありました。何個売るためには何人集客しなきゃいけない。そのためにはいくらの予算を広告のどこに 出さなきゃいけないみたいなことの 基礎データをずっと積み上げていきました。その中で不採算商品だとか、不採算取引先というものが出てくるんですが、こういったものを早々に判断して全部バサバサと切っていきました。
そもそも単価のいい商品なので、本来安売りというものとは相性が悪いんですよね。今になって振り返れば、ということなんですが。
売れる仕組みを考える
そういった前提で、どういった仕組みで売るか。どういった商品を売るか。誰に売るか。ということをずっと一緒に考えていきました。
雛人形に関してはAmazonで検索するとアンパンマン雛人形が3,000円くらいで出てくるんですよ。そんな横で20万円の商品を売るのは、なかなかしんどいなと。
そこに真正面であたっていくわけにはいかない。
そこで、あなただけの商品。満足いくオーダーメイドというものをやっていきたい。
あとは簡単に言えば上品で価値の高いもの、という訴求になってくると思っていました。
売れるコンセプトとは
ということで手をつけたのはコンセプトの設計です。コンセプトという言葉は広い範囲で使われる言葉ですが、ここではお客さんに対してどんな活用を提供するのかという意味でコンセプトとして使っています。
商品のパーソナリティ自体はすでにあると思っていました。
そこに付加価値的に個人個人へのオーダーメイド要素を入れていくことがAmazonへの対抗手段だと考えていました。
話し出すととても長くなってしまうのですが、ここでは「大人の雛人形」「大人の五月人形」というコンセプトに置くことにしました。
最終的に出来てきたコンセプトが「大人の雛人形」となったのは、雛人形の本来の価値や美しさを認識できるのは子供じゃ無理。
大人になってからのものだという考えです。
子供に喜んでもらうのではなく、子供の成長を願う親に対してその価値を十分に伝えていくというのが、この雛人形のコンセプトとなりました。
左京は伝統的な技法で雛人形を作成しています。
昔からのやり方を引き継ぎ、その高い技術を継承しています。
100年続くこの会社では今主流となってきたようなプラスチックや簡易版・廉価版の素材を使った製作というのをほとんどを行っていません。
昔からの技法で昔からの素材を使い、わかる人には分かる高い品質のものを作成しています。
それをいかに伝えていくかというのが、今回の課題として大きく設定されたところです。
簡単にまとめるとそうなのですが、決めるまでには紆余曲折ありました。
とはいえ商品的にはそんなに変えなくても売れる方法があるんじゃないかなっていうのを 考えていたので、そもそも何で買ってくれるんだろう…?という雛人形自体の価値についてディスカッションしたり、どうやって発送する? どうやって売れる? そもそもオンラインでポチってくれるものなのか?
とかそういうのを一緒に考えていったりSNSやInstagramでそのまま売れるのかな?みたいなことはいろいろ考えてですね。
Facebookでアンケート調査とかやって一緒にでGoogleドキュメントとかフォームとか作ってアンケート取って、名前別とか、いろいろバリエーション作って、これをどういう方法でどうやったら買いたいですか?とかっていうのやってたりしてましたね。
販売までの流れ構築
コンセプトが決まったので、それにしたがってコーポレートサイトの作成、LPの作成、ECサイトの作成に取りかかっていきました。
品質の高さを伝えること、商品としての魅力を伝えること、他社との違いや、どのような方に向いているかを伝えること、伝え方についてはかなり綿密に打ち合わせしたと思います。
また最初のお客さんとの接点となる。きっかけについては広告の活用とインスタの運用を中心に考えることにしました。
記のコンセプトのもと比較的若い世代の女性に対して美しい雛人形を訴えていく。広告からLPに誘導して、そこで価値を説明する時間を十分とらせていただく。さらに興味を持ってもらうべくカタログの請求をしていただき、連絡手段を確保しつつ、お客さんにもカタログで実際の風合いに近いものを、写真ではありますが見ていただく。そんな流れで作成してくことにしました。
現物を見たいお客さんには、近くの代理店に出向いていただくことも可能にしていきました。
広告をしっかり運用してみたら全然違った
ウェブ広告は以前から使っていて、それまでにお願いしていた広告代理店は、一番なんか大事な肝のところを触ってるはずなんですけど、その辺の相談が結構できなくて、、、。
「なんか言われたからこの予算でこのキーワードのところにこれで出しました」っていうだけで、じゃあそれによってどういうお客さんがどういう動きになっていて、、、みたいな ところまで 踏み込んでくれなかったです。
ちょっと頼りにならないなと思ってたところでしたね
その時に広告代理店の広告レポートを利用できるんですかね?みたいなことを稲垣さんも話をして、運用を交代していただいて、広告の最適化大事だよねみたいなところを一緒にやっていきました。
テクニカルで専門的な広告の話になっ ちゃいますが、要はいくら(広告を)打つといくらで売れるのかっていうような指標ができないと本当に広告出してる意味がないっていうところにもう1回立ち返って、(どのくらいの広告を出すと)見る人とお問い合わせしてくれる人と購入する人が何人なのかっていうのは ちゃんと測れないと意味がないです。
副次的な効果として、今の状態を積み上げていくとだんだんお客さんのリストっていうのが出来てくる。
そしたらその次は例えばその人たちに次に何か違うものを売れないかなとかそういう話も出てきています。
広告の試行錯誤
広告を最適化するにあたって、結構試行錯誤もしました。
例えば地域をちゃんとカテゴライズするとかですね。
うちは元々静岡県外に売るつもりはなかったんですよ。
静岡市周辺でなんとなく店に来れるけど来れないぐらいの方たちにちょっとお届けしたいですって稲垣さんに相談したのが最初でした。
とはいっても「県外や全国でも出しておこうよ」っていうことで出したら、意外に静岡県内よりも静岡県外の方の反応が良かったっていうのが結果で、それから全国に販売する流れに結果論的になりました。
もしかしたら静岡のほうが反応が出るのであればそっちでやってたし、何がどうなるかわからないなと本当に作りながら思いました。
反応や問い合わせがあったからやったし、お客さんに対応していったら県外の人たちの方が反応が良かった。というところから今のかたち(全国向けEC販売を中心にやっていくという方針)に落ち着いてるっていう状態ですね。
ターゲット層の設定もそうですね。
広告を出していく層を60代前半と30代の2種類に分けてやったんですけど(雛人形・五月人形はお孫さんの祖父母さまからの誕生祝い品なので、祖父母さまがお金を払うパターンがほとんどです)60代に意外と反応が良くなかったです。
やっぱりやってみないとわからないなあというところでした。
SNS活用
SNSもインスタを中心に活用し、雛人形の美しさや歴史、様々なバリエーションなどについて投稿を続けました。
インスタでは18,000人以上のフォロワーが獲得できています
初年度の結果
詳しい数字はお伝えできませんが、初年度から多数の本当に多数のカタログ請求をいただきました。
ここからオンライン販売サイトへご案内させていただき、本当に多くの販売を実現させることができるようになりました。
話は少し逸れるのですが、地方の代理販売店への弊社指名の販売も増えました。
これは代理店への弊社のアピール力が増しているとも言えると思います。名指しされたら仕入れるしかないですからね。すごいなあとなるわけですよ。
代理店の方への交渉力というか、存在感のようなものを高めることもできるようになったと思います。
補助金の活用
またサイトの作成費用については補助金を利用しました。
補助金の申請書類の作成についても、稲垣さんと相談しながら作っていった感じです。
【稲垣談】
左京さんとのお付き合いは今も続いており、4年目を迎えます。
毎年新しい取り組み分け、また試行錯誤は続いています。
業界としては一般的に難しいと言われる業界だったかもしれませんが、やりようによってはかなり大きく売り上げが伸ばすという実例を証明できた一件だったかなというふうに思います。
どんな業界でもまだまだやれることがあります!
同業界でこのような取り組みがなければ、逆にチャンスが大きいと言えると思います!
良い商品をもっとたくさんの方に届けていくチャレンジを一緒にやっていきませんか?
望月 琢矢 / Mochizuki Takuya
静岡の雛人形工房 株式会社左京 4代目
1991年生まれ / 静岡県出身
https://sakyou.co.jp/
雛人形職人として技を磨きながら、デザイン・商品開発・企画・マーケティング…何でもやってます。これからの雛文化について、一生懸命考えながら、向かい合っていきます。
稲垣 達也 / Tatsuya Inagaki
ドットアンドノード株式会社 代表取締役社長
1984年生まれ / 岐阜県出身
https://dot-node.com/
士業、自治体、飲食、トレーナー、橋梁、英会話 様々な分野の集客・売上アップのコンサルをしています。
売上をあげるためなら手段にこだわらない!という姿勢でいつも新しいことに挑戦中。
- 結婚式場の集客新規マーケットの開拓 コロナ期間に同業が売上を80%以上落としている壊滅的な時期にフォトウェディングのコンセプトを見出し、顧客数を大幅に増やす。181%増の売上(改善幅数千万円程度)
- 農家のB to C初進出資金捻出と廃棄の回避。クラウドファンディング支援、周辺関係各社への呼びかけと、クラファンプラットフォームの仕組みハックにより、1070万円達成(目標の21倍)。BtoCは初めてだったが、販路を新しく作ることで、1000万円分のメロンの廃棄を防ぎ、EC構築に向けてファンを740人獲得した
- 初めてネット通販に進出する企業支援BtoCを初めて取り組んで、4ヶ月で3000件以上の見込み客獲得に成功。ウェブ広告の運用と調整、ターゲットの新規発掘、他社との差別化戦略により、主力の売上が店舗販売からD2Cになる
- 不動産業者の集客新しいターゲット層へアプローチ。顧客の最新物件情報が欲しいというニーズにフォーカスしネット集客の仕組みを再構築。サイトの構築とウェブ広告の運用を一手に引き受け、顧客問い合わせ数を30倍に
- 英語講師養成講座の集客の仕組み構築ウェブ集客の仕組み見直し。ファネルの再構築からクロージングのトークスクリプトの見直しまで一括してコンサルティング。広告運用、一般社団法人の創業、資格認定講座策定を行い、6ヶ月で問い合わせ件数1.6倍、単価を1.2倍、成約率は29→44%、売上は5.6倍にした
など実績多数 >> お客様の声・サイト制作実績をみる