司法書士として既に開業している方や、これから独立開業を目指している方の中には、「チラシでの集客は効果があるのか？」「そもそも集客方法自体に知識や自信がない」という方も多いのではないでしょうか。

本記事では、司法書士が集客にチラシを活用するメリットとデメリット、集客効果を上げるポイントを解説していきます。

チラシ以外の集客方法についても合わせて解説していきますので、集客について自信がない方はぜひ参考にしてください。

司法書士にとってチラシが必要な理由

司法書士業務は地域に根ざした「地元密着型」の性質が強いため、チラシという紙媒体との相性が良いとされています。

まずは、司法書士にとってなぜチラシが有効な手段となり得るのか、具体的な理由を解説します。

チラシが効果を発揮する地域密着型ビジネスだから

司法書士は、登記や相続、遺言、成年後見など、地域住民の生活に密接に関わる手続きをサポートすることが多い業種です。

こうしたサービスは、多くの場合、地元の人からの相談や依頼が中心となります。

そのため、特定の地域に直接情報を届けることができるチラシは、ターゲット層に対して効果的なアプローチ方法だといえます。

たとえば、朝日大学マーケティング研究所による調査（2009年）では、新聞の折込チラシを「ほぼ毎日見る」と回答した方は全体の71.6％。

特に60代では、81.3％と高い割合を示しています。

また、「チラシをほぼ一通り目を通す」と答えた方の割合も60代で46.7％に上り、若年層よりも多くの時間をかけて閲覧している傾向が明らかになっています。

さらに、ファーストフードのクーポン利用やスーパー来店など、「チラシを見て実際に行動した」方の割合は全体で75.0％にのぼり、紙媒体のチラシが消費行動に結びつく強い動機付けとなっていることが確認できます。

このように、特に中高年層にとってチラシは接触頻度・閲覧時間ともに高く、行動喚起力のあるメディアであり、司法書士業務の主な相談層に対して有効な手段といえます。

ターゲット層が紙媒体を好むため

司法書士業務の主要な相談者には、高齢者や中高年層が多いもの。

こうした世代は、若年層に比べて、インターネットよりも紙媒体に親しみを感じており、ポストに届いたチラシをじっくり読む習慣を持っている方も少なくありません。

日本総合研究所の2024年レポートによれば、国内の死亡者数は今後も増加が見込まれ、2040年には相続資産総額が年間51兆円に達すると予測されています。

また、60代以上の高齢者の単身世帯や子のいない世帯も増えており、相続・遺言・成年後見といった法手続きの需要が拡大すると見られます。

司法書士は、こうした手続きの主要な窓口として機能することが多いため、結果として今後、相談者には高齢者がより多くなっていくと考えられます。

そういった場合にも、ターゲットの情報接触の傾向に合わせて発信方法を工夫することが、集客成功の第一歩となります。

少ない費用で即効性のある集客が見込めるため

チラシは、ポスティングや新聞折込など、比較的低コストで始められる集客手段です。

たとえば、ポスティングは1枚あたり4〜8円程度、新聞折込は1万部で3〜5万円ほどが相場です。

また、チラシのデザインや印刷を業者に依頼する場合は、両面カラー印刷1000部で2〜3万円前後かかることもあります。

具体的な金額を知っておくと、予算の検討がしやすくなるでしょう。

また、オープンキャンペーンや相続相談無料など、限定的なサービスの告知には即効性があり、短期間での反響を期待できるという利点もあります。

特に、開業初期や新サービス導入時など、あまり費用をかけず、かつすぐに相談者を増やしたい場合には、チラシは効果的な集客手段であるといえるでしょう。

司法書士がチラシで集客するメリット

チラシを活用した集客には、司法書士にとって多くの利点があります。

ここでは「チラシを使ったら、どんないいことがあるのか？」という視点から、具体的なメリットを整理してご紹介します。

高齢層に情報が届きやすい

司法書士の相談者には60代以上の高齢者が多い傾向があります。

この世代はインターネットに不慣れなことも多いもの。

一方で、紙のチラシに対する抵抗感が少ないため、チラシによって効果的に情報を届けやすいといえるでしょう。

たとえば、相続や遺言などのサービスを紹介したチラシを配布すれば、それを読んで興味を持った顧客からの相談につながる可能性があります。

地域を限定してピンポイントにアプローチできる

チラシは配布エリアを細かく指定できるため、事務所のある市区町村や周辺の住宅地など、集客したい範囲に絞って効率よく情報発信が可能です。

たとえば、「新興住宅地に開業したばかりの司法書士事務所が、近隣エリアにチラシを配布して周知を図る」といった活用が効果的です。

また、ピンポイントに絞ってチラシを配布することで、さらに費用を抑えられるという利点もあります。

ターゲティングをしっかり行い、戦略的にチラシ配布を実施して集客を行いましょう。

事務所型業種の集客と相性が良い

事務所型業種の集客とチラシの相性は非常によく、事務所の存在を知ってもらうことで、それが近い将来の顧客獲得につながることも少なくありません。

また、司法書士は相談予約が中心となる業態のため、「信頼性」や「安心感」の伝達が非常に重要です。

顔写真入りのチラシや実績の紹介などを通じて、「誰に相談できるのか」「どんな問題に対応してくれるのか」を明確に伝えることで、信頼獲得につながり、問い合わせ増加が期待できます。

司法書士がチラシで集客するデメリット

チラシには多くのメリットがありますが、一方で注意すべき点も存在します。

ここでは「逆に、どんな困ったことが起きる可能性があるのか？」という視点から、チラシ活用のデメリットを整理します。

反響（依頼相談数）が安定しない

チラシの反響（依頼相談数）は、配布時期や内容、配布エリアに大きく左右されるため、集客数が読みにくいという欠点があります。

たとえば、「以前は100軒配布して3件の問い合わせがあったのに、今回は同じ数配っても問い合わせがゼロだった」ということも珍しくありません。

チラシによって安定的な集客を期待するには、繰り返しの検証と改善が欠かせないということを念頭に置いておきましょう。

たとえば、月1回の頻度で配布し、内容を少しずつ変えながら反応を比較する方法など。

特に相続や成年後見のように、必要なときが限定されるサービスでは、定期的に情報が届く体制を整えることが重要です。

配布エリアが限定される

チラシは物理的な配布が前提のため、広範囲への情報発信には不向きです。

特に、遠方からの依頼を獲得したいという場合や、複数のエリアを対象にしたい場合には、配布コストや人的労力が増加し、費用対効果が下がる可能性があります。

チラシ単独では、エリア外へのアプローチに限界があることを理解した上で集客戦略を練ることが重要です。

デザインや構成などによっても成果に差が大きく出る

見た目の印象や情報の整理具合によって、チラシの成果に大きく差が出る点にも注意しましょう。

具体的な失敗例として下記のような内容が挙げられます。

このような場合、せっかくチラシをたくさん配っても、集客効果は期待できません。

適切な構成・デザインの工夫が求められるので、信頼できるプロに作成を依頼するのが得策といえるでしょう。

司法書士事務所のチラシ集客効果を高めるコツ

せっかく費用と労力をかけてチラシを配布するなら、できる限り効果を高めたいというのは当然のことです。

次のようなポイントを踏まえ、司法書士事務所のチラシ効果を高めましょう。

ここからは、反響を得るための具体的な工夫ポイントを紹介していきます。

必要な情報をわかりやすくまとめる

「どんな業務に対応しているか」「料金の目安」「事務所の場所や連絡方法」など、依頼の判断に必要な情報は簡潔に、かつ分かりやすくまとめましょう。

情報が多すぎると、読む側は疲れ、読むのをやめてしまったり、伝えたかったことが伝わらなかったりするため、要点を絞って伝えることが重要です。

実績や強みをアピールする

競合の司法書士が多い中で選ばれるためには、「その司法書士事務所ならではの強み」が必要不可欠です。

「相続登記に強い」「○○件以上の相談実績」「地域密着○年」など、安心感につながる要素を数字なども交えて具体的に記載することで、より信頼度が高まります。

限定オファーで問い合わせや依頼につなげる

「今月中にご相談いただいた方には、初回相談無料」などの限定オファー（期限や対象を絞った特典）は、瞬発的な行動を促すきっかけになります。

顧客にとっての明確なメリットを提示することで、チラシからの問い合わせ率上昇が期待できるため、上手に活用しましょう。

見やすさ・伝わりやすさ重視のデザインにする

色使いやフォント、余白のバランスなどもチラシの印象を左右します。たとえば、背景が濃すぎて文字が読みにくかったり、情報を詰め込みすぎて見づらかったりすると、読まれずに捨てられてしまう可能性が高くなります。

チラシのデザインは「おしゃれさ」よりも「読みやすさ・伝わりやすさ」を優先しましょう。

司法書士の集客は、チラシだけだと限界がある！

チラシは地域密着型の集客手段として一定の効果が期待できますが、それだけに依存してしまうと、安定した集客にはつながりにくいという現実があります。

なぜなら、チラシは配布範囲が限られており、効果も一時的なので、配布のタイミングや内容によっては反響がほとんど得られないケースもあり、「継続的な依頼の流れ」を作るのが難しいからです。

また、司法書士の取り扱う業務の特性も相まって、チラシを見てもすぐに行動しない方も多いため、後から検索して情報を探すということも珍しくありません。

たとえば、マイボイスコム株式会社の2024年のインターネット調査では、折込チラシ閲覧者のうち「商品・サービスについて、他の媒体で調べる」と答えた方が23.6％に上っており、紙媒体で得た情報をきっかけにWebでの検索行動が起きるという実態が確認されています。

また、電子チラシの利用者は全体で5割強、特に女性50〜60代で利用率が高い傾向があることから、中高年層でも紙とWebを連動させた情報取得が一般化していると考えられます。

このように、「チラシを見てからWebで調べる」という行動様式は特定層に限らず広く見られるため、司法書士の集客でも紙媒体とWeb施策の連動がますます重要になります。

そうした「あとで調べる」層に対して、チラシだけでは十分なアプローチができないという弱点があります。

チラシ自身の弱点にも対応して集客効果を上げるためには、複数の集客方法を並行して実行していくことが重要になります。

チラシと相性の良い司法書士の集客方法

チラシ単体では限界がありますが、次のように他の集客手段と組み合わせることで、より効果的なアプローチが可能です。

ここでは、チラシと相性の良い司法書士の集客方法を紹介します。

地元イベントやセミナー開催からの誘導

まず、地域の高齢者向け講座や相続・登記に関するセミナーなどを開催し、そこで配布するチラシや資料に問い合わせ先を記載する方法です。

参加者は「顔を見て話を聞いた上で相談できる安心感」を持てるため、依頼につながる可能性が高くなります。

飛び込み営業

地元の不動産業者や葬儀社、介護施設など、司法書士業務と関係の深い事業者にチラシや案内を持参して挨拶・営業活動を行うのも効果的な方法です。

飛び込み営業は「抵抗がある」という方も多い方法ですが、うまく信頼関係が築ければ、継続的な紹介を得られる可能性があります。

Web集客

ホームページやGoogleビジネスプロフィール、SNS（X／旧Twitterなど）を活用した集客は、チラシでは情報が届かない層にも広くアプローチできます。

紙媒体で興味を持った人がネット検索することも多いため、チラシとWebの情報が連動しているとより効果的です。

特に最近では、主な情報獲得手段がインターネット検索という人も増えているので「チラシで興味を持ったあとにWebで詳しく調べる」という流れが一般的。

チラシとWebの組み合わせが、司法書士にとって極めて重要になっています。

チラシ集客とWeb集客の連動が司法書士に重要な理由

司法書士の集客では、チラシとWebを組み合わせて活用することで、より高い効果が期待できます。それぞれの集客手段には特徴や強みがあるため、それらを連動させることで弱点を補い合い、相乗効果を得られるのです。

具体的には、下記のようなメリットがあります。

それぞれの理由を詳しくみていきましょう。

紙媒体とWebの相乗効果が期待できる

司法書士の集客においては、チラシという紙媒体とWebを併用することで、それぞれの強みを活かしながら、より効果的にターゲットに対してのアプローチが可能です。

たとえば、チラシは地域の高齢者層や地元住民など、紙媒体を好む層に直接届く一方で、詳細な情報を伝えるには限界があります。

チラシに事務所のホームページやSNS、GoogleマップのQRコードなどを掲載しておくことで、興味を持った方がすぐにWebで詳細を確認できるようにすれば、情報が伝わりやすくなり、信頼感の向上と問い合わせの促進につながります。

「紙で見て、Webで調べて、問い合わせる」という流れがスムーズになることで、相談件数の増加が期待できるでしょう。

紙媒体ではリーチできない広範囲にも事務所の存在を知ってもらえる

チラシは地域密着型のターゲットに直接アプローチできますが、配布範囲が限られており、幅広い層への情報拡散には向いていません。

一方、Webは検索からの流入やSNSを通じた拡散によって、遠方や若年層にもリーチ可能です。

たとえば、相続や会社登記など、特定の分野に強みを持つ司法書士事務所であれば、Webでの情報発信により、遠方からでも「この分野に強い事務所」として選ばれる可能性が生まれます。

さらに、口コミや実績紹介、代表者の顔写真などを掲載しておけば、信頼性も補完できます。

紙媒体とWebをうまく組み合わせることで、より多くの人に事務所の存在を認知してもらい、相談・依頼の可能性を広げることができるので、積極的に活用しましょう。

司法書士のチラシ集客でよくある質問

チラシ集客を始めようとすると、「これはどうすれば？」「こんなときは？」といった具体的な疑問が出てくるものです。

ここでは、司法書士の方から特によく寄せられるチラシ集客に関する質問と、そのポイントを分かりやすく解説します。

高齢者向け・若者向けで、チラシの内容や表現は変えた方がいいですか？

ターゲットによって反応する表現やデザインの好みは大きく異なるので、チラシの内容や表現も変えた方が良いでしょう。

たとえば、高齢者向けには以下のような工夫が有効です。

一方、若年層に向けては以下のような表現が効果的です。

誰に届けたいチラシなのかを明確にし、内容とデザインを調整しましょう。

司法書士のチラシに「使ってはいけない言葉」ってありますか？

司法書士のチラシには、使ってはいけない言葉があります。

特に、誇大表現や誤認を招く表現は、場合によっては法律や業界の規制に抵触する可能性があるため細心の注意が必要です。

司法書士の広告や宣伝には、明確な法的・倫理的な規制があります。

たとえば、日本司法書士会連合会による、2023年4月1日施行の「司法書士行為規範」第17条では、「司法書士は、虚偽の事実を含み、又は誤認を生じさせるおそれがある広告又は宣伝をしてはならない」と定められています。

具体的には、以下のような表現は避けることが望ましいです。

こうした言葉を使うと、顧客からの信頼を失うだけでなく、場合によっては行政処分や訴訟のリスクもあります。

また、司法書士会の広告規程やガイドラインにも準拠する必要があり、違反した場合は業務停止等の懲戒処分となることもあります。

表現に迷う場合は、所属する司法書士会に確認するのが安全です。

チラシは、信頼感を持ってもらうことを念頭に、正確で誠実な表現を心がけましょう。

チラシに事務所の情報ってどう書けば信頼されますか？

チラシに事務所の情報をしっかり載せることは、信頼感を高めるために非常に重要です。

具体的には以下のポイントを押さえましょう。

「誰が」「どこで」「何をしているのか」が明確に分かるチラシは、閲覧者に安心感を与え、相談や依頼につながりやすくなります。

チラシはどんな方法で配るのが効果的ですか？

司法書士がチラシを配る主な方法は以下の3つです。

それぞれの特徴を踏まえ、事務所に合った手段を選びましょう。

ポスティング

住宅やマンションのポストに直接投函する方法で、地域密着の事務所に向いています。

ただし、侵入禁止の建物に入ってしまったり、受け取り拒否されたりといったリスクもあるため注意が必要です。

新聞折込

地域の新聞に折り込む方法で、高齢層に届きやすいのが特徴です。ただし、新聞を取っていない世帯には届かない点がデメリットです。

地域施設への設置

病院や役所、スーパーなど人が集まる施設にチラシを置く方法です。信頼感のある場所での掲示は印象アップにつながりますが、事前の許可が必要です。

こうしたうち、複数の配布方法を組み合わせることで、より多くの層にリーチできます。

よくあるチラシの失敗パターンと、その改善方法は？

司法書士がチラシで集客する際、ありがちな失敗として以下のようなものがあります。

こうした改善方法は以下の通りです。

上記の問題点を改善することで、チラシの反響率がぐっと高まります。

実際にチラシで集客できた司法書士事務所の例はありますか？

実際に、相続手続きに特化したチラシを地元の高齢者向けに配布し、相談件数を大きく伸ばした事務所や、顔写真を掲載して信頼感を高めた結果、「安心して問い合わせできた」という声が寄せられた事務所もあります。

ターゲットと内容を一致させることが、チラシ集客成功の鍵です。

チラシとWebを活用して司法書士の集客を成功させよう

司法書士の集客において、チラシは今も有効な手段の一つです。特に地域密着型の業務や、高齢者を主なターゲットとする分野では、高い効果を発揮します。

しかし、チラシ単体では反響が安定しない、到達できる範囲に限界があるといった課題が存在するのも事実です。

だからこそ、Webを活用した集客と組み合わせることで、安定した集客体制を築くことが可能になります。

集客でお悩みの方は、チラシとWebをうまく組み合わせて、ご自身の強みを最大限に活かした戦略を検討してみましょう。

「Web集客で何から手をつけたらよいかわからない」「Web集客をプロに依頼したい」という方は、私たち「ドットアンドノード」へお気軽にご相談ください。