司法書士は自宅で開業できる?自宅開業のメリット・デメリットや成功のポイントを解説
司法書士として独立を考える際、「自宅で開業する」という選択肢を検討する方も多いのではないでしょうか。
自宅開業は、コストを抑えられるだけでなく、通勤時間を削減できることが魅力です。
一方で、業務環境や顧客対応における課題が生じることもあります。
この記事では、司法書士が自宅で開業をするメリット・デメリットや自宅開業までの流れを解説します。
自宅開業を成功させるためのポイントや注意すべき点などもお伝えするので、司法書士として自宅開業を考えている方はぜひ参考にしてください。
司法書士が自宅開業するメリット
司法書士が自宅開業するメリットとして、下記の内容が挙げられます。
- すぐに独立できる
- 通勤に時間や費用がかからない
- 経費を削減できる
- 育児や介護などと両立がしやすい
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
すぐに独立できる
自宅開業をすることですぐに独立できるというメリットがあります。
自宅以外の場所を借りて司法書士事務所を開業する場合、物件探しや設備の準備などに時間がかかります。
一方、自宅を事務所として使う場合は、物件探しの必要はありません。
また、インターネット環境や電話回線、パソコンやプリンターなどの設備が既にある場合はそのまま使用することもできるので、準備の時間を大幅に短縮して独立可能です。
通勤に時間や費用がかからない
自宅で独立開業する場合、通勤に時間や交通費がかからないのも大きなメリットです。
浮いた時間と交通費を司法書士業務にあてることができるので、より効率的に仕事ができるようになります。
また、結果として仕事を早く終わらせることができれば、プライベートの時間も確保しやすくなるので、公私ともに充実した生活が送れるようになります。
育児や介護などと両立がしやすい
自宅が事務所であることで、育児や介護などとの両立がしやすいというメリットもあります。
物件を借りて開業する場合に比べ、労働時間の融通が利きやすいので、育児や介護の状況に応じて臨機応変な対応をとりやすい環境を整えられます。
自宅にいることで、緊急のときもすぐに対応できる点は、育児や介護をしている方にとって大きな安心材料といえるでしょう。
経費を削減できる
自宅を事務所として使用することでテナント料がかからないので、大幅に経費を削減することができます。
また、自宅にある設備を流用することで、そろえる備品も少なく済むことも、司法書士としての仕事が安定するまで不安定になりがちな資金面で大きなメリットです。
削減した経費を貯蓄しておけば事務所を拡大していくための資金として使えるので、長期的な発展にもつながります。
司法書士が自宅開業するデメリット
自宅開業には多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。
司法書士が自宅開業するデメリットを4つ紹介します。
新規顧客からの信頼度が低くなる
司法書士が自宅で開業する場合、新規顧客からの信頼度が低くなってしまう傾向にあります。
特に、開業したばかりの司法書士事務所は知名度が全くないといっても過言ではないので、初めて依頼する顧客にとっては自宅であることが警戒心を抱く要因になってしまいます。
そのため、顧客から信頼を得られるような対策を考えることが必要です。
セキュリティ面でのリスクがある
テナントを借りて司法書士事務所を開業する場合に比べ、セキュリティ面でのリスクが高くなることもデメリットといえます。
特に、司法書士業は重要な情報や機密情報を扱うことが多い職業です。
万が一、情報の流出や書類の紛失などが発生した場合、顧客からの信用を失うだけでなく、損害賠償責任が生じる可能性もあります。
インターネットセキュリティやホームセキュリティを導入するなど、必要に応じて安全対策を行いましょう。
プライベートと仕事の線引きが難しい
勤務時間のほとんどの時間を自宅で過ごすことになるので、仕事とプライベートの感覚があいまいになりやすいのもデメリットです。
オンオフをうまく切り替え、効率的に仕事ができるように工夫することが大切です。
また、顧客に自宅住所が知られていることが原因で、業務以外の部分でトラブルに発展するリスクもあります。
顧客との距離の取り方やプライベートとの線引きに注意が必要です。
自宅の改修が必要になる可能性がある
自宅の一室をそのまま事務所にできる場合は問題ありませんが、自宅の間取りや設備によっては改修が必要になる可能性がある点にも注意が必要です。
改修にかかる費用によっては、自宅開業よりも物件を借りて開業する方が金銭的メリットが大きくなることもあります。
本来、経費を抑えられることが自宅開業のメリットの一つなので、改修費用をかけてでも自宅開業を選択するのかはよく考える必要があります。
自宅で開業する前にチェックすべきポイント
実際に自宅で司法書士事務所を開業するにあたって、事前にチェックしておくべきポイントは、以下のとおりです。
- 契約上での事務所としての使用可否
- 自宅の名義人
- 自宅の立地・交通アクセス
- 物件の構造や間取り
それぞれの項目について、順を追って見ていきましょう。
契約上での事務所としての使用可否
自宅が賃貸物件の場合、事務所として使用しても問題ないかを貸主や管理会社に確認する必要があります。
事務所としての使用が認められていない賃貸物件で開業をしてしまうと、契約違反とみなされて退去を求められる可能性があるので、十分に注意しましょう。
自宅の名義人
自宅の名義人が誰になっているかも確認しておきます。
賃貸物件で事務所使用が認められる場合も、契約者本人のみに限定されていることがほとんどなので、配偶者や親が名義人として賃貸契約をしているのであれば特に入念な確認が必要です。
また、経費計算などをはじめ、事務手続きの際に自宅について書面上での確認が必要になることがあります。
名義人に協力が得られるかも含めて確認と相談をしておきましょう。
自宅の立地・交通アクセス
自宅の立地と交通アクセスを確認し、司法書士事務所として適しているか確認しておくことも重要です。
交通の便が悪い場合、必然的に集客率は低下する傾向にあるので、十分に集客が見込めそうかをふまえた下調べを行う必要があります。
また、駐車場所を確保できるか、自宅に駐車スペースがない場合は近隣にコインパーキングがあるかなども確認しておくと安心です。
特に、都心部から離れた場所で開業する場合は顧客の交通手段が車になるケースも多いので、駐車場が用意できるかが重要です。
物件の構造や間取り
司法書士として自宅を事務所にする場合、物件の構造や間取りを確認して実際にどのようにスペースを活用するかを検討する必要があります。
居住スペースと仕事スペースを分け、生活感が伝わらないようにすると、顧客も気兼ねなく相談できるでしょう。
また、足の不自由な方や高齢の方でも訪問しやすいように戸建ての場合は1階に応接室を作るなど、顧客目線で工夫して配置などを決めることが重要です。
なお、マンションで2階以上に住んでいる場合は、エレベーターがあることが望ましいです。
司法書士が自宅開業するまでの流れ
司法書士が自宅で開業するまでの大まかな流れは、以下のとおりです。
- 司法書士としての実務経験を積む
- 事業計画・資金計画を立てる
- 自宅のある地区の司法書士事情の事前調査
- 自宅内で事務所とする場所を整備して備品をそろえる
- 司法書士会へ登録申請をする
- 人脈づくりと営業活動を行う
順を追って解説します。
1.司法書士としての実務経験を積む
まずは、司法としての実務経験を積むことが一般的なファーストステップです。
司法書士試験に合格して新人研修を修了すれば、すぐにでも独立開業は可能ですが、やはり既存の司法書士事務所で3年程度の実務経験を積んでから独立開業をする人が多い傾向にあります。
実際、知識や経験が不足した状態でいきなり独立して事務所を運営していくことはかなりの困難がともなうというのが現状です。
実務経験を通して、司法書士業務の基本的な流れや事務所を運営するうえでの最低限のノウハウなどを学んでから独立開業するのがおすすめです。
2.事業計画・資金計画を立てる
実務経験を積み、独立開業を現実的に見据えるころになったら事業計画と資金計画を立てましょう。
なお、事業計画や資金計画の内容は漠然としたものではなく、具体的な数字を盛り込んだものにすることが重要です。
いつごろにどの程度の費用が必要で、どの程度の利益が見込めるのか、しっかりと予測を立てながらまとめることが重要です。
3.自宅のある地区の司法書士市場の事前調査
司法書士として自宅開業をする場合、特に重要となるのが自宅がある地区の市場調査です。
というのも、開業する地域の土地柄によって顧客ターゲットや営業戦略は大きく異なるので、市場調査をもとに計画を進める必要があるからです。
司法書士同士で情報交換をしたり、地元の人の声を聞いてみたりなど、生の声をもとに事前調査を行いましょう。
4.自宅内で事務所とする場所を整備して備品をそろえる
司法書士事務所を開業するうえでの事業計画と事前調査が完了したら、自宅を事務所として使えるように整えていく必要があります。
もちろん、パソコンや電話といった自宅にある備品をそのまま流用することも可能です。
足りないものや性能が十分でないものは新たに購入する必要があるので、まずは必要なものをリストアップして確認すると良いでしょう。
5.司法書士会へ登録申請をする
自宅を事務所として使用できる準備が整ったら、司法書士会への登録申請が必要です。
司法書士登録の手続きは、司法書士事務所を開設する地域を管轄する法務局または地方法務局の管轄区域内の司法書士会が窓口です。
具体的な登録入会方法は、所属する予定の司法書士会へ確認してください。
また、司法書士会への登録申請と併せて、管轄の税務署へ開業届も提出しておきましょう。
開業届を提出することで、確定申告を青色申告で行えるようになり、さまざまな場面で節税効果が得られるメリットがあるので、忘れずに提出することをおすすめします。
6.人脈づくりと営業活動を行う
司法書士として顧客を獲得するには、開業前の段階から継続して幅広く人脈づくりをしておく必要があります。
顧客となる可能性がある金融機関や不動産屋、社長や資産家などはもちろん、税理士、行政書士、弁護士といった士業を営む人とのつながりも重要です。
異業種交流会や勉強会、合同研修などへ積極的に参加して人脈づくりをしましょう。
司法書士が自宅開業を成功させるためのポイント
司法書士が自宅開業を成功させるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
具体的なポイントは、下記のとおりです。
- 実績や強みを明確にし、アピールポイントを作る
- 地元の市場調査に基づいてターゲットを設定する
- 人脈づくりと営業に力を入れる
- Web集客を積極的に活用する
- 適切な業務の振り分けをする
各ポイントをしっかりと把握して、必要な対策を行いましょう。
実績や強みを明確にし、アピールポイントを作る
自分の司法書士としての実績と強みを明確にすることで、司法書士事務所のアピールポイントを作ることが重要です。
特に、開業したばかりの司法書士事務所の場合、アピールポイントの有無が集客率に顕著に現れます。
知名度が全く無い状態から顧客を獲得するためには、強みを活かした営業活動が必要不可欠です。
事前にしっかりと自己分析を行って戦略を練りましょう。
地元の市場調査に基づいてターゲットを設定する
顧客獲得のためには、ターゲットの設定も重要な要素です。
また、ターゲットを設定するうえで、顧客が司法書士探しで重視するポイントが地域によって異なる傾向にあることも頭に入れておくことも重要です。
具体的には、都心部と地方で下記のような力が求められやすい傾向にあります。
地域 | 特徴 |
---|---|
都心部 | 特定分野における高い専門性 |
地方 | 司法書士としての幅広い知識や対応力 |
自宅開業の準備段階で市場調査を行い、どのようなことが司法書士として求められるのかというニーズを理解したうえで、ターゲット設定を行いましょう。
人脈づくりと営業に力を入れる
司法書士が自宅開業を成功させるために、必要不可欠なのが人脈づくりと営業です。
交流を広げておくことで、下記のようなメリットがあります。
- 近隣の司法書士市場に関する情報が得られる
- 繋がりのある人から直接仕事の依頼が受けられる
- 士業繋がりで仕事を紹介してもらえる
開業準備の段階から交流会に参加して人脈を作り、開業後には挨拶状を送付するなど、積極的に活動しましょう。
Web集客を積極的に活用する
インターネットが普及した現代では、司法書士を探す際にほとんどの人がまずインターネット検索を利用します。
そのため、司法書士が集客を成功させるためにはWeb集客の活用が必要不可欠です。
Web集客の方法には、下記のような方法があります。
- HPの作成
- Web広告(リスティング広告)の掲載
- ブログやSNSでの情報発信
- SEO対策
- ポータルサイトへの登録
これらのWeb集客方法を駆使し、顧客の獲得を目指すことが重要です。
適切な業務の振り分けをする
自分で対応する業務と外部に依頼する業務を適切に振り分けることも、自宅開業を成功させるポイントです。
司法書士が自宅開業をする場合、特に高い営業力と集客力が求められます。
そのなかでも、Web集客には専門性や知識が必要となる部分が多く、自力で成果をだすことは困難です。
そのため、Web集客はプロへ依頼することをおすすめします。
効率や費用対効果などをもとに、業務を振り分けるように意識しましょう。
司法書士の自宅開業はWeb集客をプロに依頼しよう
この記事では、司法書士が自宅開業をするメリット・デメリットや自宅開業の手順と成功のポイントを解説しました。
司法書士が自宅開業をするうえで必要不可欠なWeb集客ですが、専門知識が必要になることが多く、自力で成果を出すことは難しいで、プロへ依頼するのがおすすめです。
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