司法書士事務所の広告出稿を成功させるポイント!規制表現や注意点なども紹介
司法書士事務所を経営するにあたり、広告出稿は集客の大きな柱となります。しかし、司法書士の広告には様々な規制やルールがあり、それらを熟知した上で戦略的に取り組む必要があります。本記事では、司法書士事務所の広告出稿を成功に導くポイントと、注意すべき規制事項について詳しく解説します。独立した司法書士の方はぜひ参考にしてください。
司法書士事務所の広告出稿を成功させる5つのポイント
司法書士事務所の広告出稿を成功させるには、以下の5つのポイントを押さえることが肝要です。
- 広告出稿規制やルールを遵守する
- 広告で訴求するサービスや、ターゲットを明確にする
- 広告出稿媒体をターゲットに合わせて変える
- 大手を真似て広告出稿をしない
- 無駄なキーワードで広告出稿しない
いずれも司法書士事務所の広告戦略を左右する重要な要素です。
一つひとつを詳しく見ていきましょう。
広告出稿規制やルールを遵守する
司法書士の広告は、司法書士法と各地の司法書士会の厳格なルールによって規制されています。
これらの規制に抵触すると、業務停止や登録抹消などの重い処分を受けるリスクがあります。
ですので、広告出稿に際しては、必ず関連法規と会則を入念にチェックし、それらを完全に順守する必要があります。
コピーライティングの段階から、規制に引っかからない表現を徹底するのはもちろん、広告のデザインや掲載メディアの選定に至るまで、コンプライアンスの視点を持つことが不可欠と言えるでしょう。
広告で訴求するサービスや、ターゲットを明確にする
広告戦略を練る上で、もう一つ欠かせないのが、訴求サービスとターゲットの明確化です。
司法書士の業務は多岐にわたるため、得意分野や主力サービスを絞り込むことが大切になります。
漠然と「何でも対応可能」といったアピールをしても、広告の説得力は弱まるばかり。
むしろ「遺言・相続のお悩みなら当事務所へ」「不動産登記に特化した〇〇事務所」といった具合に、専門性を全面に打ち出す方が効果的でしょう。
司法書士数は増加!登記数は年々減少傾向にある!
司法書士を取り巻く環境変化として、特に注目したいのが、業界の競争激化と登記需要の減少です。
司法書士の新規登録者数は年々増加の一途をたどり、日本司法書士会連合会の『会員数他データ集』によれば、2024年4月1日時点での司法書士会員数は23,156人となっています。
その一方で、司法書士の主要業務である不動産登記や商業登記の件数に軽く触れたいと思います。
法務省の『登記統計』によれば、不動産登記の件数は2006時点から35.6%減少しています。
また、同統計によれば、商業登記の件数も2006〜2010年でかなり減少し、それ以降は横ばいか、微増という形で推移しているのが実情で、ここ数年で大幅に減少しています。
この需給ギャップの拡大は、個々の司法書士の経営環境を直撃しつつあります。従来の主力業務である登記だけでは、もはや十分な収益を上げられない時代に突入しているのです。
だからこそ、これからの司法書士は、登記以外の分野に活路を見出していく必要に迫られています。たとえば成年後見制度の利用が伸びしろを見せているほか、相続関連の業務にも大きな需要が見込めます。
広告出稿媒体をターゲットに合わせて変える
広告媒体にもさまざまな種類があり、それぞれに到達できる客層が異なります。
たとえば、高齢者の相続相談を狙うなら、地域の回覧板やフリーペーパーといった紙媒体を活用するのが得策かもしれません。
対して、若年層の顧客開拓には、SNS広告やディスプレイ広告など、ネットメディアが効果覿面。
ただし、デジタル広告の場合は、適切な出稿設定を行わないと費用だけ垂れ流しになる恐れがあります。
ですので、自社の顧客ペルソナを深く分析し、その属性にマッチした広告手法を選び抜くことが重要になります。
安易にメディアミックスを試みるより、まずは得意分野におけるコア媒体を1〜2つに絞り込み、しっかりと最適化を図っていくのがベターでしょう。
大手を真似て広告出稿をしない
地域の個人事務所や中小規模の事務所が陥りやすい失敗パターンが、大手事務所の広告戦略をそのまま模倣することです。
大手は、長年の実績とブランド力、豊富な広告予算を背景に、テレビCMやラジオCMなどのマス広告を大々的に展開しています。
さらには、競合サイトを上回る膨大な広告費を投じて、検索連動型広告の上位表示を独占しているケースも見受けられます。
しかし、こうした大手の戦略を、リソースに乏しい個人・中小事務所が真似ても、非効率な投資に終わるだけ。
予算も実績も信頼も及ばない以上、同じ土俵で戦っても勝ち目はないのが実情です。
むしろ、「地域密着」「専門特化」といった、小回りの利く個人事務所ならではの強みを前面に押し出し、ニッチな需要を着実に掘り起こしていく方が賢明だと言えるでしょう。
多額の広告費をつぎ込むより、地道なホームページ活用や関係構築営業、既存客からの口コミ誘発など、地に足の着いた集客手法にも光を当てるべきです。
無駄なキーワードで広告出稿しない
とりわけネット広告の文脈で忘れてはならないのが、キーワード選定の重要性です。
検索連動型広告などでは、どんなキーワードで出稿するかによって、広告の成否が大きく左右されます。
司法書士の広告は高単価案件が多いだけに、安易なキーワード選びは大きな損失につながりかねません。
「相続 司法書士」「不動産登記 司法書士」など、顕在ニーズの高いキーワードは、競合他社との入札合戦で跳ね上がり、クリック単価が高騰しやすい。
こうしたレッドオーシャンに飛び込むのは、個人・中小事務所にはリスクが大きいと言わざるを得ません。
かといって、あまりにマイナーなキーワードに逃げてしまうと、そもそも検索需要が乏しく、広告の見込み客が集まりません。
肝心なのは、まずは自社の得意分野に関連する基幹キーワードを抑えつつ、そこから長尾キーワードを派生させ、費用対効果の高い需要を見出していくこと。
ある程度の検索ボリュームがありつつ、競合が少なく、自社への関連性が高いキーワードを、丁寧にリサーチしていく必要があります。
最適なキーワード選定は、ネット広告の要諦だと言っても過言ではありません。
費用対効果を常にシビアに問い直し、スモールスタートで着実に成果を積み上げていくことが何より大切だと言えるでしょう。
司法書士事務所の広告出稿で注意すべき規制やルール
先述の通り、司法書士法と各地の司法書士会のルールによって、広告表現には厳しい制約があります。
これらに違反すると、業務停止や登録取消などの重い処分を受けることになります。
司法書士に対して、ここまで厳格な広告規制が敷かれているのには、それなりの理由があります。
司法書士は、登記や裁判手続きの代理など、国民の権利義務に直結する公共性の高い業務を担っています。
その職責の重さゆえ、広告での不当表示や誇大広告は許されないのです。
虚偽や誇張に惑わされ、安易に司法書士を選んでしまった依頼者が不測の損害を被るリスクは小さくありません。
それを防ぐためにも、司法書士には節度ある広告姿勢が強く求められているのだと理解すべきでしょう。
広告に記載しなければならない項目を入れる
司法書士の広告に義務付けられている記載事項は、業態によって若干の違いがあります。
個人事務所と法人事務所で求められる開示内容が異なるので、まずはそれを整理しておきましょう。
個人 | 法人 | |
---|---|---|
基本情報 | ⚫︎ | ⚫︎ |
事務所の情報 | ⚫︎ | |
簡裁訴訟代理権等の情報 | ⚫︎ | |
広告であるという表示 | ⚫︎ | ⚫︎ |
個人事務所の場合、以下の3点がマストです。
- 事務所名、司法書士の氏名、登録番号といった基本情報
- 簡易裁判所の訴訟代理権を有する認定司法書士であることの表示(もし認定を受けていれば)
- 広告であること自体の明示
法人事務所の場合は、次の項目が必要になります。
- 事務所名、代表者名、住所、連絡先などの基本情報
- 所属司法書士全員の氏名と登録番号
- 広告であること自体の明示
登記の代理などを依頼する際、利用者が事務所の情報を詳しく知りたいと思うのは自然なこと。
広告であってもできる限り情報開示を徹底し、依頼検討段階から信頼感を醸成することが大切だと言えます。
事務所情報の記載は、単なる形式要件などではありません。
それ自体が、司法書士の誠実さとオープンさを端的に示すアピールポイントになり得るのです。
基本情報
事務所の看板広告やホームページ、名刺など、事務所名や代表者名、所在地、連絡先の表示は必須中の必須事項。
これらの基本情報を開示しない広告は、それだけで即アウトです。
とりわけ重要なのが、司法書士の氏名と登録番号の記載。
依頼者から見れば、どんな資格と経歴を持つ司法書士が担当してくれるのかは、何より知りたい情報のはずです。
もちろん、あまり法令上の制約ばかりを意識しすぎるのは本末転倒。
むしろ、事務所の基本情報はできるだけ丁寧に開示し、初めての問い合わせにも迅速かつ誠実に対応する。
そんな利用者本位の姿勢こそが、司法書士事務所の信頼を高める近道になるはずです。
事務所の情報
先述の通り、法人事務所の場合は、事務所に所属する司法書士全員の氏名と登録番号の表示が求められます。
事務所の陣容や専門性は、依頼検討段階の重要な判断材料。
各司法書士の得意分野や経験、資格などもできる限り具体的に開示し、事務所の総合力をアピールすることが有効でしょう。
加えて、事務所の理念やビジョン、代表者の略歴といった、事務所の個性を物語る情報の発信も大切です。
単に硬い事務所情報を羅列するだけでは、依頼者との距離は縮まりません。
事務所の「顔」が見えるようなプロフィール開示を心がけ、親しみやすさと専門性を両立するような情報設計を工夫していきましょう。
簡裁訴訟代理権等の情報
司法書士の中には、簡易裁判所における訴訟代理等の業務を行える「認定司法書士」の資格を有する者がいます。
この認定司法書士であるかどうかは、司法書士を選ぶ上で依頼者が注目するポイントの一つ。
とりわけ金銭トラブルの解決を検討中の方などにとって、必要不可欠な情報と言えるでしょう。
ですので、認定司法書士の資格を保有しているのであれば、広告でも明確にそのことをアピールすべきです。
逆に言えば、この肩書の表示を怠ると、トラブル対応に長けた司法書士という大きな強みをみすみす埋没させてしまうことになります。
せっかくの専門性は、遠慮なくPRに活かしていくのが賢明。
認定司法書士の表示義務は、司法書士の広告戦略を後押しする追い風ととらえるべきなのです。
広告であるという表示
司法書士の広告では、「広告」であることの明示が義務付けられています。
例えばホームページの末尾に「本サイトは●●司法書士事務所の広告です」といった一文を添えるだけで、この要件はクリアできます。
とはいえ、広告表示は単なる免罪符ではありません。
むしろ、頭から「広告」を押し出しすぎると、閲覧者に警戒心を抱かせ、伝えたいメッセージが色褪せてしまう恐れも。ホームページの場合は、コンテンツ内容自体で「広告だと一目瞭然」という状態を作り、それとなく広告表示を添える程度でも十分かもしれません。
広告規制を守りつつ、いかに自然体で説得力のある広告表現ができるか。
司法書士の広告力が問われるところだと言えるでしょう。
司法書士事務所の広告出稿における禁止事項を守る
ここからは、司法書士広告でNGとされる表現例を10個挙げながら、規制の具体的内容を確認していきます。
司法書士法や各地の司法書士会のルールで禁止されている広告表現は多岐にわたります。中でも、以下の10点は特に気をつけたいところです。
- 虚偽や誇大表現による事実誤認を招く広告
- 依頼者を特定の選択肢に誘導する広告
- 根拠のない最上級表現を用いた広告
- 他の司法書士や事務所との比較広告
- 同業者を誹謗中傷するような広告
- 過度な景品提供で集客を図る広告
- その他の法令に抵触するような広告
- 依頼者の氏名を無断で利用した広告
- 受任済みの案件に関する広告
- 司法書士の品位を損ねるような広告
これらは、ほんの一例に過ぎません。業界の広告規制は、社会情勢によって刻一刻と変化しています。
常に最新の法令等をチェックし、適切な広告表現の在り方を不断に問い直す姿勢が欠かせません。
たとえ善意の広告表現でも、知らず知らずのうちに規制線上を踏み越えてしまうリスクは十分にあり得るのです。
広告の文言やデザインのみならず、掲載メディアの適否までをきちんと確認するよう心がけましょう。
事実に合致しない広告は禁止
虚偽や誇大表現による事実誤認を招く広告が禁じられているのは、司法書士広告の大原則です。
例えば、「どんな難しい相続トラブルも必ず解決できます!」といった断定調の表現は、明らかに誇大広告のそしりを免れません。
相続問題の解決を保証するかのような広告は、依頼者に過度な期待を抱かせ、のちのち失望を招く恐れが大きいのです。
あくまで自社の強みは、正直かつ具体的な根拠を示しながら、控えめに訴求するのが賢明。
「相続問題解決実績○○件以上」「相続診断士○名在籍」など、客観的な実力を淡々とアピールする方が説得力は増すはずです。
司法書士広告で何より大切なのは、法令順守はもちろん、人としての誠実さだと心得るべきでしょう。
虚偽や誇張に頼った広告は、たとえ一時的に集客できたとしても、所詮は信頼を損ねる早道でしかないのです。
誘導又は誤認のおそれのある広告は禁止
司法書士広告では、閲覧者を特定の選択肢に誘導したり、誤解を招くような表現も避けなければなりません。
NGワードを挙げるなら、「絶対」「必ず」「確実」といった言葉は危険信号。
例えば「うちに依頼すれば紛争解決は確実です」などと言い切るのは、明らかに誘導的な広告表現と言えるでしょう。
どんなに自信のあるサービスでも、100%の成功を保証するかのような言い方は禁物。
むしろ依頼者に選択肢があることを示唆しつつ、事務所としてできる限りのサポートを約束する、そんな柔軟な広告文句が求められます。
「ご相談内容に応じて、最適な解決方法をご提案します」「×××の案件では、○○%の解決実績があります」など、選択の幅を残しつつ事務所の強みを控えめに訴求する。
そうした分別のある広告姿勢こそが、司法書士への信頼を高めるカギになるはずです。
誇大又は過度な期待を抱かせる広告は禁止
根拠のない最上級表現や誇大表現を用いる広告も、司法書士の世界ではご法度とされています。
例を挙げるなら、「日本一の○○事務所」「業界No.1」といった決め付けがまさにそれ。
こうした絶対的な優位性を標榜するキャッチコピーは、客観的な立証が極めて難しいだけに、誇大広告のリスクが避けられません。
司法書士広告で勝負すべきは、あくまで自社の「専門性」。
例えば「○○分野に10年以上特化」「○○のプロフェッショナル集団」など、具体的な強みを地に足をつけて訴求する方が説得力は増すはずです。
何かにつけて「日本一」を騙るのは、むしろ事務所の信頼を損ねる行為だと肝に銘じるべき。
司法書士のプロとして、節度と謙虚さを忘れない広告表現を心がけましょう!
他の会員との比較広告
気をつけたいのが、他の司法書士や事務所との比較広告も禁止されている点。
「当事務所の着手金は○○事務所の半額以下!」などといった明示的な比較表現はもちろん、「地域最安値」「最多取扱件数」など、暗に他者との優劣を匂わせる広告も避けるべきです。
同業者をライバル視するのではなく、むしろ業界の仲間として尊重し合うことが肝要。
自社の強みは、あくまで前向きな言葉で独自にアピールしていくのが賢明です。
他の会員をひぼう・中傷する広告
加えて、他の司法書士や事務所の評判を貶めるような広告表現も、当然アウト。
例えば「あの事務所は頼りにならない」「○○事務所は失敗続き」など、同業者への悪口雑言は論外。
こうした陰口めいた広告は、たとえ事実だとしても許されません。
プロとしての良識が疑われるだけでなく、事務所の信用失墜にもつながりかねないのです。
相手の悪評を暴くことで結果的に足元をすくわれるのは、広告主のほう。
依頼者に選ばれる司法書士になるには、自他ともに尊重し合える姿勢が何より大切。
同業者をおとしめることなく、自社の魅力を真っ向から訴求する広告を心がけたいものです。
金品等の提供や供応をもって依頼を誘引するような広告
司法書士広告では、過度な景品類の提供で集客を図るのもNGです。
初回相談料の無料化や交通費の補助など、適度なサービス提供は許容される範疇かもしれません。
しかし「ご依頼の方全員に商品券1万円プレゼント」などという広告は、さすがにやり過ぎです。
司法書士の業務は、国民の大切な権利を預かる公共性の高い仕事。
その信頼性を金銭等の餌で釣ろうとするのは、職務の尊厳を著しく傷つける行為だと言えるでしょう。
依頼者との関係づくりは、あくまで真摯な仕事ぶりと人柄で築いていくことが肝要。
お金や物品のばらまきに頼るのは、司法書士の看板に泥を塗るようなものなのです。
法令又は会則に違反する広告
司法書士法や会則以外にも、様々な法令で広告規制が設けられています。
例えば、弁護士法では、事件関係者への働きかけや、誇大な広告、競合他社の誹謗中傷などが禁止行為として明記されています。
大阪司法書士会の『大阪司法書士会会員の広告に関する規制運用についての指針』では、以下のような表現が禁じられています。
- 特定の依頼者への不当な利益誘導と受け取られるおそれのある広告
- 司法書士の業務内容や報酬に関して、虚偽や誇大な表現を用いた広告
- 他の司法書士や事務所の信用を毀損したり品位を失墜させたりするような広告
これらの規制に抵触すると、厳しい処分を受ける可能性があります。
例えば、以下のような広告表現はNGです。
「どんなに複雑な相続トラブルでも、ウチに頼めば全て丸く収まります!他事務所の3倍の実績と経験があるからこそ、ご安心を!」
このような広告は、虚偽・誇大表現と他事務所の誹謗中傷にあたり、明らかに広告規則違反。行政処分を受けるリスクが高いと言えるでしょう。
依頼者を表示した広告(依頼者からの文書による同意がある場合を除く)
依頼者のプライバシー保護の観点から、広告で依頼者の名前をむやみに公表するのはNGです。
例えば、許可なく「当事務所にはA社やB社など多数の企業から依頼が寄せられています」などと広告で言及するのは、相手企業への重大な背信行為。守秘義務違反に問われかねない危うい表現と言えるでしょう。
依頼者との信頼関係は、何物にも代え難い司法書士の生命線であり、その絆を軽んじるような広告は論外です。
もちろん、事前に依頼者本人から「広告で名前を出してもよい」との文書による同意を取り付けている場合は話が別ですが、あくまで例外的な扱いとして、慎重に検討すべき案件だと心得ておきましょう。
受託中の案件又は過去に取り扱いもしくは関与した案件を表示した広告(依頼者からの文書による同意がある場合を除く)
司法書士が現在進行中の案件や過去の受任案件について、依頼者の承諾なしに広告で言及するのも避けるべき行為です。
「現在、大手ゼネコンX社の合併登記を担当中」「昨年、IT企業Y社の役員変更登記を手がけた」など、秘密保持の義務がある案件情報をみだりに広告に引用するのは論外。依頼者との信頼を損ねるだけでなく、損害賠償請求などのリスクにもつながりかねません。
ケースによっては、依頼者サイドから「うちの案件を広告で紹介してほしい」と懇願されることもあるかもしれません。そんな時は、文書で同意を取り付けた上で、十分に内容を吟味してから広告を打つよう心がけましょう。
いずれにせよ、案件情報の広告利用は、依頼者との合意形成が大前提。
一方的な情報公開は厳に慎むべきだと肝に銘じておくことが大切です。
その他司法書士の品位又は信用を損なうおそれのある広告
最後に、司法書士の品位や信用を傷つけるような広告表現も、包括的に禁止されています。
ここでいう「品位や信用を損なう表現」とは、なかなか曖昧な規定ではあります。
とはいえ、あからさまに下品で俗悪な広告は、まず間違いなくアウトでしょう。
例えば、事務所のマスコットキャラクターが暴力的だったり、下着姿で登場したりするような広告は論外です。
加えて、虚偽の経歴や資格をうたったり、必要以上に扇情的な見出しを使ったりするのも危険。司法書士への敬意を著しく欠くような表現は、たとえ悪気がなくても避けるべきでしょう。
司法書士事務所の広告出稿で集客を安定させよう!
いかがでしょうか。本記事では、司法書士事務所が広告を打つ際の心構えと、押さえておくべき規制の要点を詳しく解説してきました。
むやみに煽情的なキャッチコピーを使わず、根拠のある情報で事務所の強みを真摯に訴求する。それが司法書士広告の原点であり、本質なのです。
ただし、そうは言っても、競争の激しい司法書士業界で広告効果を上げるのは容易ではありません。
法令順守を大前提としつつも、訴求力の高い広告表現を編み出す工夫が常に問われています。
ターゲットの絞り込みを徹底し、事務所の「オンリーワン」を見つめ直し、効果検証を重ねながら少しずつ広告の型を作り上げていく。正攻法一辺倒ではない、戦略的な広告活動が何より大切だと言えるでしょう。