
独立しない司法書士の就職先は?メリット・デメリットや年収などを解説
司法書士が独立しない場合、どのような就職先が考えられるでしょうか?
司法書士の資格を取ったものの、独立しないで働き続ける場合、どんな仕事先があるのか気になる方もいるでしょう。
また、独立しないほうが向いている司法書士というものもあるのです。
この記事では、独立しない司法書士が働く場所の例や、独立しないことで得られるメリットやデメリットなどについて、わかりやすく解説します。
独立しない場合の司法書士の就職先

司法書士が独立しない場合、主な就職先は以下の通りです。
- 司法書士法人
- 総合法人
- 個人の司法書士事務所
- 一般企業の法務部や総務部
以下からは、各就職先について、それぞれ具体的に解説します。
司法書士法人
司法書士が独立しない選択肢の中で、最もオーソドックスなものは、司法書士法人で勤務することです。
司法書士法人は、複数の司法書士がチームを組んで仕事をしている組織です。
個人で開業する司法書士と比べると、司法書士法人の依頼案件数は圧倒的に多く、内容も多種多様なので、幅広い業務が経験できます。
さらに、厚生年金や健康保険などの社会保障、有給休暇や健康診断といった福利厚生は、開業司法書士にはない大きな魅力ともいえるでしょう。
総合法人
総合法人とは、司法書士法人を含め、弁護士法人、税理士法人、行政書士法人、社会保険労務士法人など、さまざまな士業が集まり、ワンストップで対応する大きな組織形態です。
司法書士にだけ特化した法人と比べると、より大規模で広範囲にわたる分野の案件を扱える点がメリットです。
「他の士業の仕事にも興味がある」「多様な士業の人と一緒に仕事がしたい」という場合は、総合法人が就職先としておすすめです。
個人の司法書士事務所
個人の司法書士事務所に勤務することも、選択肢の1つに挙げられます。
個人事務所の場合、法人と比較すると、地域に密着した業務が多いものです。
そのため、依頼者1人ひとりとじっくり向き合いやすいことはメリット。
ただし、就業規則が明確に定まっていなかったり、責任の所在が曖昧になりやすかったりすることも多いため、注意しましょう。
一般企業の法務部や総務部
司法書士は、法人や司法書士事務所だけではなく、一般企業の法務部や総務部に会社員として勤めることも可能です。
企業側は、法律に関する専門知識を持つ人材を求めているため、司法書士の知識は高く評価されます。
仕事内容としては、契約書の作成・確認、コンプライアンス(企業のルール遵守)指導、弁護士とのやり取りなどを担当します。
ただし、一般企業に勤める場合、法律上の制限により、司法書士だけに許された「独占業務」(不動産登記や商業登記の代理など)は行うことができません。
独立しないで勤務司法書士として働くメリット

独立しないで勤務司法書士として働くメリットは、次の通りです。
- 毎月安定した収入を得られる
- 事務所経営の心配をする必要がない
- 幅広い経験を積める
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
毎月安定した収入を得られる
勤務司法書士は、いわば会社員と同じ立場なので、毎月決まった給料が支払われる仕組みになっています。
また、有給休暇がしっかり確保されていたり、社会保険や福利厚生(健康診断や各種手当など)も整っているため、生活が安定しやすいこともメリットです。
「お金の心配をしたくない」「大金を稼げなくてもいいから、低収入に陥りたくない」という方は、勤務司法書士として働くことがおすすめです。
事務所経営の心配をする必要がない
個人事務所を開業すると、司法書士としての仕事だけに留まらず、事務所の経営についてまで考えなくてはなりません。
たとえば、パソコンやプリンターといった備品の購入、光熱費や通信費の管理、ホームページやブログの更新費用。
さらに、事務員を雇うなら給与の支払いなど、経営者としての業務が多岐にわたります。
しかし、勤務司法書士であれば、こうした経営の心配は不要です。
司法書士本来の仕事に集中できるため、「事務所を経営する自信がない」という方には大きな安心材料となります。
幅広い経験を積める
勤務司法書士であれば、開業司法書士よりも幅広い経験を積める可能性があります。
たとえば、総合法人に勤めれば、弁護士や公認会計士、税理士など、他の資格職の人たちと一緒に働く機会があり、それぞれの専門分野に触れられるでしょう。
また、一般企業に勤めることで、司法書士が得意な法務や経理の他にも、営業・マーケティング・広報・人事・経営企画など多方面の業務を経験できるかもしれません。
独立しないで勤務司法書士として働くデメリット
勤務司法書士として働くデメリットは、以下の通りです。
- 収入が上がりづらい
- 自分の得意な仕事だけに集中できない
- 就職先選びが大変
本当に独立しないまま働き続けるべきか、今一度よく検討してみましょう。
以下からは、各デメリットについて詳しく解説していきます。
収入が上がりづらい
勤務の司法書士の平均年収は400万円前後で、一般的なサラリーマン並みです。
また、どれだけ頑張って働いても一気に収入が増える可能性は低く、ボーナスの金額が少し上がるくらいでしょう。
「平均年収よりももっと多く稼ぎたい」「1,000万円プレイヤーを目指したい」という司法書士は、勤務という働き方は向いていないといえます。
自分の得意な仕事だけに集中できない
司法書士によっては「不動産登記の実績が豊富」「成年後見人として寄り添い続けたい」「営業許可・建築許可が得意」など、得意分野に関する考え方やこだわりがあるでしょう。
司法書士が独立して開業すれば、得意な仕事を選んで集中して取り組めます。
しかし、勤務という形態では幅広い業務を担当する必要があるので、自分が興味を持てなかったり、苦手な仕事もこなさなくてはなりません。
このため、「〇〇の分野はやりたくない」「××社の仕事だけ担当したい」という芯が強いタイプの人は、勤務司法書士として働くことに対してストレスを溜めてしまうかもしれません。
就職先選びが大変
司法書士が就職先を探すときは、法人や事務所ごとの特徴をしっかり見極めなければなりません。
たとえば、扱う業務の内容や職場の雰囲気、経営者との相性など、さまざまな要素を考慮して選ぶ必要があります。
もし入社してから「雰囲気が合わない」「思っていた仕事と違う」と感じても、簡単に転職するわけにはいきません。
特に、短期間での転職を繰り返すと、いくら司法書士という国家資格を持っていても、次の就職先を見つけるのが難しくなるリスクもあります。
さらに、履歴書や職務経歴書の作成、志望動機を考えたり、面接を受けたりする手間もかかるため、就職活動自体が負担ともいえるのです。
独立しない方が向いている司法書士の特徴
独立しない方が向いている司法書士の特徴は、以下の通りです。
- 多種多様な仕事がしたい人
- 安定した収入を得たい人
- チームで働くことが好きな人
- 営業スキルに不安がある人
- 自己管理が上手くできるか心配な人
メリット・デメリットを踏まえて解説するので、独立しないままの方が良いのか悩んでいる司法書士の方はぜひ、チェックしてみてください。
多種多様な仕事がしたい人
司法書士として独立してしまうと、自分が得意な仕事や、手がけやすい分野に限定して業務を受けるようになりがちです。
一方、法人や一般企業に勤務していれば、自分が今まで経験してこなかった分野にもチャレンジでき、多種多様な仕事に触れることができます。
司法書士資格を取りつつも「他の仕事にも興味がある」という方には、勤務司法書士の道が合っているでしょう。
安定した収入を得たい人
開業してすぐのころは、仕事が安定せず、収入も上下に波が出るのが普通です。
しかし、勤務司法書士であれば、毎月の給料が決まって支払われるため、収入面で大きな心配をせずに生活することができます。
「まずは生活を安定させたい」「収入に波があると不安だ」という方には、無理に独立せず勤務を続けることが向いているでしょう。
チームで働くことが好きな人
司法書士が開業すると、従業員を雇わない限り1人ですべての仕事に対応しなければならないため、人によっては孤独感や閉塞感を覚えるかもしれません。
勤務司法書士であれば、同僚や他の士業と協力しながらチームで仕事を進める環境に身を置くことができます。
また、「たまに人と雑談しないと息が詰まる」「気軽に何でも相談できる人と仕事を進めたい」という方も、勤務司法書士が適しているでしょう。
営業スキルに不安がある人
独立した司法書士は、自ら顧客を開拓して仕事を取ってこなければなりません。
たとえば、名刺交換会に参加したり、インターネット広告を出したり、SNSで情報発信をしたりといった努力が必要です。
営業活動に自信がない場合や、営業に時間やエネルギーを割きたくない場合は、勤務司法書士として働き続ける方が向いています。
自己管理が上手くできるか心配な人
独立した司法書士は、働く時間や獲得する案件数などを、自分で調整できます。
そのため、ライフワークバランスを重視できるといえるでしょう。
しかし、自己管理が甘い方や怠け癖がある方は仕事と向き合えず、結果として低収入になってしまい、生活できなくなる恐れがあります。
「労働時間はきっちり決められている方が働きやすい」「人の目がないとダラダラしてしまう」という方は、勤務司法書士として働くことが向いているでしょう。
独立しない司法書士の年収
「司法書士白書2021年度版」に掲載されている司法書士実態調査集計結果によると、令和元年の勤務司法書士の年収で最も多かった回答は「300〜400万円未満」で、回答者全体の21.0%でした。
2番目に多い回答が「400〜500万円未満」で18.3%、3番目は「500〜600万円未満」で15.1%です。
「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均給与は443万円なので、一般的なサラリーマンと同じくらいといえるでしょう。
なお、同調査の結果では、開業している司法書士の税引前収入(売上)で1番多かった回答は「1,000~4,999万円」で、全体の30.8%となっています。
勤務司法書士と比較すると、開業司法書士の方が圧倒的に多く稼いでいることが分かります。
参考:日本司法書士会連合会「司法書士白書 2021年版」
参考:国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」
司法書士として独立するかしないか迷っているときのポイント

司法書士として独立するか否かを悩んでいる場合、次のポイントについて考えてみましょう。
- 司法書士としてのキャリアプランを整理する
- 資金や経営知識の準備状況を確認する
- 家族やライフプランとのバランスを考慮する
それぞれのポイントを確認し、独立するかしないか判断する際の参考としてください。
以下からは、各ポイントについて詳しく解説していきます。
司法書士としてのキャリアプランを整理する
キャリアプランとは、将来の理想像を実現するために立てる、目標や行動計画のことです。
たとえば、司法書士として5年後にどうなっていたいか、10年後にどんな働き方をしていたいかを具体的に考えることが大切です。
「短期的な目標(1〜3年)」「中期的な目標(3〜5年)」「長期的な目標(5〜10年)」を立てて、勤務と独立のどちらの方が早く・着実にたどり着けるかを検討してみてください。
資金や経営知識の準備状況を確認する
司法書士として開業する場合、最低限の資金は必要です。
司法書士の開業資金は、たとえば「自宅で開業する」「応接テーブルやソファを豪華にしない」など節約すれば、数十万円程度で済みます。
とはいえ、独立当初は売上が安定しないため、運営資金や生活費用を工面するためにある程度の額を貯金しておくべきです。
また、経営戦略・マーケティング・会計など、経営者として必要な知識を得ることも重要です。
資金は潤沢に確保できているのか、経営に関する知識は備わっているのかを考えたうえで、独立するべきか検討してみましょう。
家族やライフプランとのバランスを考慮する
独立は、自分だけの問題ではありません。
家族がいる場合、生活の安定や将来の計画とのバランスも大切に考える必要があります。
たとえば、「子どもがまだ小さいうちは収入を安定させたい」「住宅ローンがあるからリスクを抑えたい」といった事情があるかもしれません。
このような点も考慮しながら、タイミングを見極めて独立するかどうかを判断することが重要です。
司法書士として独立を考えている方はドットアンドノードまで
今回は、司法書士として独立を目指す方に向けて、働き方の選択肢や独立後のサポートについて詳しく紹介しました。
司法書士の就職先には、総合法人や司法書士事務所などが挙げられます。
しかし、勤務司法書士の場合は年収がサラリーマン並みであることが懸念されます。
大金を稼ぎたい方や営業スキルに自信がある方は、独立を検討してみましょう。
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