
司法書士の売上を伸ばす5つの方法!業界平均や低迷する理由まで解説
司法書士は高収入というイメージを持たれがちですが、実際には働き方や地域によって大きな差があります。
そのため、「売上を伸ばしたいが、何から手をつければいいかわからない」「同業の司法書士はどう乗り越えているのだろうか」といった焦りを感じながらも、日々の業務に追われて次の一手を見出せずにいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、公的なデータに基づいた司法書士業界における売上の実態から売上を伸ばす5つの方法まで詳しく解説します。
司法書士業界における売上の現実

厚生労働省が運営する「job tag」によると、2024年度の司法書士の全国平均年収は765.3万円です。
一方で、国税庁による「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、一般的な正社員の平均年収は530万円となります。
比較すると、司法書士の収入は高いといえます。
しかし、司法書士の収入は、働き方や働く地域によって異なる傾向です。
たとえば、司法書士には事務所などに勤務する「勤務司法書士」と、自ら事務所を構える「開業司法書士」がいます。
「第2回司法書士全国調査」によると、勤務司法書士と開業司法書士の年収の違いは、以下のとおりです。
司法書士の勤務体系 |
最も多い年収ゾーン |
---|---|
勤務司法書士 | 300万円から400万円未満 |
開業司法書士 | 1,000万円から4,999万円未満 |
ただし、開業すれば即座に高収入が得られるわけではありません。
開業1年目は顧客や紹介ルートの開拓に苦労し、売上が安定しないこともあります。
また、活動する地域によっても年収の差があります。
たとえば、2024年度の東京都の平均年収は934.4万円であるのに対し、神奈川県は509.9万円です。
司法書士で高収入を得るためには、働き方や活動する地域の選択に加えて、専門性を高めるために法改正をキャッチアップしたり、情報発信によって信頼を獲得できる営業活動など、継続的な努力をおこなっていく必要があります。
司法書士の売上を支える主要業務の動向

司法書士の業務は、社会や法制度の変化に伴い大きな転換期を迎えています。
売上を向上させるためには、主要業務の動向を正確に捉えることが重要です。
かつての主力業務であった不動産登記や会社・法人登記の業務は、IT化や手続きの簡素化により、長期的な減少傾向にあります。
AIによる書類作成支援といったサービスも登場しており、単純な登記業務では、報酬単価の低下による競争の激化が懸念されます。
一方で、2024年4月の相続登記義務化によって相続関連業務の需要は拡大する傾向です。
超高齢化社会を背景に、成年後見や民事信託、死後事務委任といった財産管理業務も将来性が高い分野として注目されています。
また、司法書士の業務には季節性があるため、時期的な繁忙・閑散の傾向も売上に直結します。
たとえば、司法書士の業務における季節性とは、以下のとおりです。
業務 |
季節性 |
---|---|
不動産登記 |
不動産の名義変更が多い3月から5月に集中する |
商業登記 |
会社の決算に向けた10月から12月に集中する |
こうした状況下で司法書士が持続的に売上を伸ばすには、衰退傾向にある業務に固執するべきではありません。
需要が伸びている相続や財産管理といった分野の専門知識を学び、業務の幅を広げていく多角的な視点が求められます。
司法書士の売上が低迷する4つの原因

司法書士の売上が低迷する原因には、以下の4つが挙げられます。
- 報酬設定の低さ
- 対応できる業務の幅の狭さ
- 営業活動の不足
- 消費者行動の変容
「司法書士は資格さえ取れば安泰」「独立すれば1,000万円稼げる」といったイメージを持たれることも少なくありません。
しかし、現実に売上を伸ばすには地域性や営業努力、業務分野の選定や価格戦略など、多様な要素に基づいた戦略が必要です。
売上が低迷する原因を把握できるように、順番に詳しく見ていきましょう。
報酬設定の低さ
司法書士の売上が低迷する原因の一つに、報酬設定の低さが挙げられます。
司法書士の報酬設定が低くなる背景にあるのが、2003年に廃止された司法書士報酬基準です。
自由競争を促す観点から司法書士報酬基準が廃止されたため、他の司法書士との差別化を図る目的で価格競争に陥りやすい状況が生まれています。
また、消費者はWebサイトを通じて価格を手軽に比較できるため、サービスの質や専門性よりも価格の安さが司法書士に依頼する決め手となりがちです。
価格競争から脱却するには、豊富な専門知識やアフターサービスの充実といった、価格以外の付加価値を生むことが求められます。
対応できる業務の幅の狭さ
市場が縮小しているにもかかわらず、新たな収益源となる業務分野の開拓が進んでいないと、売上は先細りしていきます。
司法書士を取り巻くビジネス環境は、社会や法制度とともに変わり続けるからです。
たとえば、住所変更のようにインターネットで情報やテンプレートが手軽に入手できる登記手続きでは、司法書士に依頼せずに本人申請で済ませる方が増えています。
そのため、かつての主力業務である登記関連だけに依存した事業展開では、売上の維持は難しくなるでしょう。
一方で、相続登記の義務化や高齢化社会を背景に、相続や財産管理などに関連した業務の需要が高まっています。
需要が見込める業務に関連した専門知識を継続的に学び、サービスとして提供できる体制を整えることが重要です。
継続的に売上を伸ばすには、自ら業務範囲を広げて、社会や法制度の変化に対応していく姿勢が求められます。
営業活動の不足
競争が激化する現在の市場環境では、営業活動の不足が司法書士の売上低迷に直結します。
従来は、顧客からの紹介や口コミに頼る「待ち」の営業スタイルが司法書士の主流でした。
しかし、インターネットで誰もが情報を得られるようになった現代において、顧客からの紹介や口コミだけでは新規顧客の獲得に限界があります。
司法書士が抱える営業課題の具体例は、以下のとおりです。
司法書士が抱える営業課題 |
詳細 |
---|---|
人脈ネットワークの不足 |
他の士業や不動産業者、金融機関などの関連業種との連携が不足している |
デジタルマーケティングへの対応遅れ |
ホームページやSNSでの情報発信、WEB広告の活用といったオンラインでの顧客接点の構築が進んでいない |
持続的な売上の拡大を実現するためには、積極的な営業活動への転換が急務であるといえます。
消費者行動の変容
司法書士の売上低迷の背景には、インターネット普及による消費者行動の変容に対応しきれていない点も挙げられます。
現在の消費者は、何か問題を抱えるとインターネットで検索し、自ら情報を集めることが当たり前です。
司法書士は検索エンジンで情報を探す段階から、他の司法書士との競争にさらされています。
インターネットの普及による消費者の新たな判断基準の具体例は、以下のとおりです。
- ウェブサイトの見やすさ
- 情報の分かりやすさ
- オンラインでの相談対応の可否
- 専門分野での実績
- 料金体系の透明性
- レスポンスの速さ
新たな消費者ニーズや判断基準に対応できていない司法書士は、顧客獲得の機会を逃し続けることになります。
デジタル化時代に適応した営業戦略の構築が、売上低迷からの脱却に不可欠です。
司法書士の売上を伸ばす5つの方法

司法書士の売上を伸ばす方法は、以下の5つが挙げられます。
- 専門性を高めて差別化する
- 他士業や専門家との連携を強化する
- デジタルマーケティングを運用する
- 地域密着型マーケティングを導入する
- 業務プロセスを効率化する
競争が激化する現代において、旧来のやり方を続けるだけでは持続的な成長は見込めません。
自身の現状を深く理解し、戦略を立てることが売上を伸ばす鍵となります。
それぞれの方法について、具体的に見ていきましょう。
専門性を高めて差別化する
価格競争から脱却し、売上を安定的に伸ばすためには、専門性を高めて差別化を図ることが有効な戦略となります。
たとえば、多数の司法書士の中から顧客に選ばれるには「相続問題なら、あの司法書士に相談しよう」と、第一に思い出してもらえるような特定の分野における地位を築くことが重要です。
特に、以下のような社会のニーズが高まっている分野に特化すると、継続的な案件獲得と収益性の向上を実現できます。
- 相続関連の業務
- 成年後見の業務
- 事業承継の業務
- 債務整理の業務
頼れる専門家として顧客に認知されると、価格ではなく価値で選ばれるようになります。
そのため、高い専門性を持つ司法書士は価格競争に巻き込まれにくく、高単価での受注が可能になるのです。
他士業や専門家との連携を強化する
他士業や専門家と連携を強化することは、司法書士が売上を伸ばすために効果的な戦略です。
弁護士や税理士など他士業との連携は、ワンストップで案件を解決する体制を構築し、顧客満足度の向上につながります。
また、不動産会社や金融機関といった専門家との協力関係は、安定的な顧客紹介を見込むことができ、営業活動の効率化をもたらします。
他士業や専門家との連携強化をおこなうための具体的な施策の例は、以下のとおりです。
- 地域の異業種交流会への参加
- 商工会議所の会合への出席
- 他士業との勉強会や研修会の共同開催
- 不動産会社との定期的な情報交換会
連携を築くためには、地道に人脈を構築していくことが重要になります。
継続的な関係性の維持による相互利益の創出により、長期的な売上向上を目指しましょう。
デジタルマーケティングを運用する
現代の顧客は、問題を抱えた際にインターネットで情報を探し、比較検討することが当たり前になっています。
そのため、司法書士においてもデジタルマーケティングを運用し、潜在顧客にアプローチすることが重要です。
効果的なデジタルマーケティング手法の例は、以下のとおりです。
手法 |
詳細 |
効果 |
---|---|---|
Webサイトの構築 |
地域名と業務内容に関連したキーワードで検索上位に表示されるように対策 | Webサイト経由での新規顧客の流入増加 |
ニュースレターの発行 |
定期的に発行して専門性をアピール | 顧客との関係性維持・リピート率の向上 |
SNSでの情報発信 |
XやFacebookなどのSNSを通じて顧客の悩みに応える有益な情報を発信 | 専門家としての信頼性を高め、SNS経由の問い合わせを獲得 |
それぞれの手法を組み合わせて、オンライン上で自身の価値を伝え続けることが新規顧客の獲得につながり、売上の向上に直結します。
地域密着型マーケティングを導入する
司法書士が売上を伸ばしていくためには、デジタルマーケティングと並行して地域密着型のマーケティングを導入することも重要です。
顔の見える関係を築くことで「身近な専門家」としての地位を確立できます。
また、ITツールの利用に不慣れな層にもアプローチでき、地域社会の一員として信頼を得られること強みです。
地域密着型マーケティングの具体例として、以下の手法が挙げられます。
手法 |
詳細 |
効果 |
---|---|---|
無料相談会やセミナーの開催 |
地域住民との直接的な接点を作るために定期的に開催 | 身近な専門家としての認知度の向上 |
チラシのポスティング |
商圏エリアに絞ってターゲット層が多く住む地域に直接配布 | Webを利用しない層へのアプローチ |
地域イベントへの積極的な参加や協賛 |
地域のお祭りやスポーツ大会、商店街の催しなどに参加や協賛 | 地域の一員としての親近感や信頼性の向上 |
地域に根ざした活動で築いた信頼は、デジタルだけでは得られない強固な顧客基盤となり、安定した売上を支える土台となります。
業務プロセスを効率化する
業務プロセスの効率化は、コスト削減につながるだけでなく、売上を創出するための時間を捻出する上で重要です。
データ入力や報告書作成などの日常業務に追われる時間を減らし、顧客対応や営業活動といった付加価値の高い業務に注力できます。
業務プロセスを効率化する具体的な取り組みの例は、以下のとおりです。
取り組み |
効果 |
---|---|
業務管理システムの導入 |
顧客情報や案件の進捗状況、請求書発行などを一元管理できるツールを導入し、事務作業を効率化 |
定型業務の自動化 |
繰り返し発生する定型的な書類作成やデータ入力の自動化により生産性をアップ |
オンライン化の推進 |
遠方の顧客や多忙の顧客に向けたオンライン相談や電子契約サービスの導入によって顧客満足度や業務スピードを向上 |
業務の効率化により創出された時間は、専門性の向上や新規顧客の開拓に活用することによって、持続的な売上の成長につながります。
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今回は、売上に課題を感じている司法書士の方に向けて、売上を伸ばす方法や業界の平均値、低迷する原因について解説しました。
司法書士の売上は、働き方や活動する地域、社会や法制度の変化によって左右されます。
かつての主力業務であった登記関連の業務だけでは安定した売上を維持することが難しく、価格競争や営業活動の不足などが原因で、売上が低迷してしまうケースは少なくありません。
持続的に売上を伸ばすためには、相続や財産管理といった需要が伸びている分野の専門性を高め、戦略的なマーケティングに取り組む必要があります。
しかし、日々の業務に追われながら、これらの課題に取り組むことは容易ではありません。
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