司法書士はどうやって営業活動すべき?おすすめの営業手法やノウハウを解説
司法書士は最難関とされる資格の1つですが、資格を取っただけで仕事がくる訳ではありません。
実際に有名な司法書士事務所なども仕事を安定的に獲得するために、戦略的な営業活動を行っています。
では、一体どのようなスタンスで、どのような方法で営業を行っているのでしょうか。
本記事では、司法書士向けの効果的な営業手法やノウハウについて、具体的な事例を交えながら詳しく解説します。
司法書士が営業活動する際に押さえておくべき4つのポイント
営業手法はたくさんありますが、なんでもやれば良いという訳ではありません。
人的リソースや費用もかかるため、費用対効果の大きな営業から優先的に行っていきましょう。
できる限り少ない予算で、大きな営業成果を出すためにも次の4つのポイントを営業前に抑えておくことが重要です。
ポイント1:自身の専門分野を明確にする
司法書士が営業活動をする際には、まず自身の専門分野を明確にすることが何より重要です。
司法書士の業務範囲は非常に広いため、あれもこれもと手を広げすぎると、クライアントに事務所の強みが伝わりづらくなります。
そこで、「成年後見なら〜事務所」「相続登記なら〜事務所」というように、特に力を入れている分野を前面に打ち出すことがポイントです。
たとえば、相続手続きの専門事務所を標榜する場合、事務所の看板やWebサイトのトップページに「相続のご相談なら、○○事務所にお任せください」といったキャッチコピーを大きく掲げます。
「相続手続き」で検索したユーザーの目に留まりやすくなるだけでなく、相続を悩みに抱えている方々に、専門性の高さをダイレクトにアピールできるでしょう。
◉-2、ポイント2:送付できる営業資料を最低限用意する
司法書士事務所を開業したら、営業資料を最低限用意しておくことが大切です。
代表的なものが、事務所案内のパンフレットです。
業務内容や料金体系、事務所の理念、司法書士のプロフィールなどを簡潔にまとめ、信頼感と専門性の高さが一目で伝わるデザインを心がけましょう。
パンフレットと合わせて、実際の案件の一覧や業務の流れをまとめた事例集も重宝します。
司法書士の業務は、一般の方にはなじみが薄いもの。具体的な事例を示すことで、提供サービスのイメージをつかんでもらいやすくなります。
過去の案件の概要や、依頼から解決までの流れ、工夫を凝らした点などをストーリー仕立てで紹介するのも効果的でしょう。
このほか、ターゲットとする顧客層や専門分野に合わせて、役立つ資料を用意するのもおすすめです。
たとえば、相続を専門とする事務所であれば、「相続手続きの基礎知識」や「相続税の節税ポイント」といった小冊子を作成。
初回相談時の資料としてプレゼントしたり、セミナーの参加特典としてお渡ししたりと、さまざまな営業シーンで活用できるはずです。
営業資料は、司法書士事務所の顔ともいえる大切なツール。
制作には手間も費用もかかりますが、長期的な視点に立てば、十分に投資に値する取り組みといえるでしょう。
営業の成果を左右する要素の一つとして、資料の内容や質にもこだわっていきたいものです。
ポイント3:営業先によって最適な営業手法を選択し実践する
司法書士の営業活動では、ターゲットとする顧客層や業務内容に合わせて、最適な営業手法を使い分けることが求められます。
個人のお客様を対象とするなら、地域密着型のアプローチを検討しましょう。
事務所の立地する市区町村で開かれる、法律相談会やセミナーへの登壇は、地域住民との接点を持つ絶好の機会です。
司法書士の専門性を活かしてアドバイスを行えば、信頼感は格段に高まるはずです。
相談会の場で積極的に名刺を配布し、後日、参加者に向けてDMを送るのも一案です。
DMには、事務所のサービス内容や相談実績などを盛り込み、身近で頼りになる司法書士事務所としての存在感を印象づけましょう。
町内会など地域コミュニティとのつながりを大切にすることも重要です。
日ごろから交流を図り、地域行事への協賛や無料相談会の開催などを通じて、事務所の知名度アップと信頼獲得を目指します。
一方、不動産会社や金融機関など企業をターゲットとする場合は、法人営業の視点が欠かせません。
まずは、ダイレクトメールや電話、Webサイトからの問い合わせなどで、アプローチ対象となる企業を絞り込みます。
そのうえで、実際に営業訪問を行い、法務ニーズや課題をヒアリング。
司法書士としてどのようなサポートが可能か、具体的な提案を行います。
企業の意思決定者とのパイプ作りも重要なポイントです。
経営者が集まる異業種交流会や、金融機関の支店長会などに足を運び、人脈の幅を広げましょう。
ゆくゆくは、案件の相互紹介や、顧問契約の獲得につながる可能性もあります。
法人向け営業は一朝一夕には結果の出にくい地道な活動ですが、専門性を発揮して信頼を積み重ねることが何より大切です。
司法書士の営業活動は多岐にわたり、十人十色のアプローチが考えられます。
大切なのは、事務所の強みを活かせる分野で、効果的な営業手法を選択し実践すること。
机上の空論に陥らず、仮説検証を繰り返しながら、最適な営業スタイルを追求していきたいものです。
ポイント4:営業結果をまとめ改善する(PDCA)
営業活動を継続的に改善していくためには、PDCAサイクルを確実に回していくことが欠かせません。
司法書士の営業は、なかなか成果が目に見えにくいもの。
だからこそ、日々の活動を客観的に評価・分析し、次の一手につなげていく習慣が重要になります。
まずは、月次や四半期など、一定期間ごとに営業結果をまとめる時間を設けましょう。
訪問件数や商談数、成約件数、獲得報酬などの定量的な指標に加えて、顧客の反応や営業活動の手応えといった定性的な内容もしっかりと振り返ります。
数字だけでは測れない、営業の質を評価するのも大切なポイントです。
営業結果の分析を踏まえたら、改善策を立案し、次のアクションにつなげていきます。
たとえば、セミナー集客の反響が大きければ、さらに規模を拡大して実施するなど、効果の高い営業手法には積極的に予算を投下しましょう。
反対に、ポスティングの成果が今ひとつなら、DMの内容を抜本的に見直すなど、時には大胆な方向転換も必要です。
PDCAサイクルを回すうえでは、営業の「仮説検証」を意識するのがおすすめです。
「〇〇の業界にアプローチすれば案件が獲得しやすいはず」など、営業活動の指針となる仮説を立て、一定期間実践してみる。
そして結果を検証し、仮説の妥当性を判断する、といったプロセスを繰り返すのです。
営業の勘や経験則に加えて、仮説検証力を養うことで、PDCAはさらに精度の高いものになるはずです。
営業改善の試みを重ねるうちに、司法書士事務所としての営業スタイルが徐々に確立されていきます。
もちろん、ある程度軌道に乗った後も、おごることなくPDCAを回し続けることが肝要です。
事業を取り巻く環境や顧客ニーズは常に変化します。
その変化を敏感に察知し、営業手法の微調整や方針転換を柔軟に行える組織であり続けたいものです。
司法書士におすすめの営業手法
司法書士事務所の知名度アップと案件獲得のため、おすすめの営業手法を5つ紹介します。
異業種交流会への参加
商工会議所や青年会議所などが主催する異業種交流会に積極的に参加し、他業種の経営者や士業との幅広いネットワーク作りを図りましょう。
交流会では、名刺交換や近況報告を通じて、司法書士という職種の認知度向上を目指します。
何気ない雑談の中から、思わぬビジネスチャンスが生まれることも少なくありません。
交流会で出会った方との関係性を大切に育んでいくことも重要なポイントです。
単発的な名刺交換だけで終わらせず、後日改めて連絡を取り、食事や飲み会に誘うなど、個人的な付き合いを深めていきます。
信頼関係が築ければ、ゆくゆくは案件のご紹介や、共同セミナーの開催など、ビジネス面での協力関係にも発展する可能性大です。
地域のイベントや相談会への出展
市民フェスティバルや福祉イベントなど、自治体や地域団体が主催する催しへの出展も効果的な営業手法の一つです。
事務所のブースを設け、来場者に向けて、司法書士の業務内容や相談事例などをパネルで紹介。
あわせて、法律クイズや無料相談会なども開催し、地域住民との交流を図ります。
イベント出展では、事務所のパンフレットやノベルティグッズを配布するのもおすすめです。
オリジナルうちわやマスクケースなど、実用性の高いグッズは、事務所名の認知度アップに一役買ってくれるはず。
相談ブースには、司法書士がつきっきりで対応し、来場者一人ひとりの悩みに丁寧に耳を傾けましょう。
イベントを通じて司法書士の人柄や専門性をアピールすることで、地域に密着した事務所としての好感度を高められます。
ポスティングやDM
事務所の所在地周辺エリアの世帯や企業を対象に、チラシやダイレクトメールのポスティングを実施するのも一案です。
ターゲットを絞り込んだうえで、地域特性を踏まえた訴求力あるコンテンツを制作するのがポイント。
たとえば、高齢化率の高い地域では、「老後の安心は任意後見制度から」といったキャッチコピーを全面に打ち出すなど、地域性と関心の高いテーマを盛り込んだ内容が効果的でしょう。
ポスティングの実施にあたっては、反響の高い時期や曜日を見極めることも大切です。
一般的に、平日の火曜日〜木曜日あたりが開封率は良好とされています。ゴールデンウィークなどの大型連休前や、3月の引っ越しシーズンなども、関心が高まりやすいタイミング。
ポスティング後は、問い合わせ数の推移を詳しく分析し、次回の実施時期や部数、ターゲットエリアの最適化につなげていきましょう。
テレアポやフォーム営業
既存顧客のご紹介や、セミナー参加者、Web問い合わせなどで名前の挙がった見込み客には、テレアポによる個別アプローチも検討したいところです。
架電の際は、事前に通話シナリオを用意し、要件を手短に伝えることを心がけます。
司法書士を名乗ったうえで、「この度は、○○様に、当事務所をご紹介いただきました。つきましては、もし宜しければ、一度事務所にお越しいただき、法律相談を無料で承れればと思います」といった具合に、来所を促すセリフを織り交ぜるのも一案です。
見込み客との商談では、相手の話に耳を傾けることが何より重要。
法律トラブルを抱える方の中には、不安や焦りから感情的になっている方も少なくありません。
そんな時こそ、営業というよりも、よき相談相手としての姿勢に徹しましょう。
専門用語を交えず、わかりやすい言葉で解決への見通しを示すことができれば、信頼関係の構築は格段に進むはずです。
事務所のWebサイトからの問い合わせにも、迅速かつ丁寧な対応を心がけたいもの。
メールでのやり取りが中心となるケースでは、タイムリーな返信に加え、適宜電話をかけてフォローを入れることも効果的です。
メールだけでは伝わりづらい、細かなニュアンスも拾い上げながら、ていねいにコミュニケーションを重ねていく。
これもまた、信頼醸成の大切なプロセスです。
SNSでのDM営業
昨今、注目度の高まるSNSも、司法書士の営業活動には欠かせないツールです。
とりわけ、ビジネス特化型SNSのLinkedInは、法人向け営業において大いに力を発揮します。
まずは自身のプロフィールページを充実させ、司法書士としての専門性や実績をアピール。
投稿では、日々の業務で感じた課題や考察、トラブル解決のノウハウなどを発信し、フォロワーからの反応を集めていきます。
気になる企業の意思決定者とつながりを持てたら、ダイレクトメッセージを送ってアプローチを開始。
「平素より投稿を拝見し、大変勉強になっております。弊事務所でも、御社と同様の課題に日々取り組んでおりまして、もしご関心がおありでしたら、一度情報交換をさせていただけますと幸いです」など、社交辞令を交えながら、面談の機会を探ります。
こうしたSNS上のやり取りでは、営業色を前面に出しすぎないのがポイント。
あくまでも、弁護士としての立場から、課題解決のヒントを提供するというスタンスを貫きます。
投稿やDMを通じて有益な情報を継続的に届けることで、信頼関係は少しずつ育まれていくはず。
気長に活動を続け、ビジネスチャンスを虎視眈々と狙っていきましょう。
営業と並行して、Web広告などネット集客の仕組みも動かそう!
司法書士の営業活動では、対面でのアプローチと並行して、Web広告などネット集客の仕組み作りにも注力したいところです。
まずは事務所のWebサイトを開設し、取り扱い業務や料金体系、事務所の理念、代表司法書士のプロフィールなどを丁寧に紹介。
ブログ記事やコラムも定期的に更新し、専門性の高い情報発信を行います。
サイト上には、無料相談の申し込みフォームを設置するのも効果的。
24時間いつでも問い合わせを受け付ける体制を整えておけば、潜在顧客の掘り起こしにつながるでしょう。
より積極的なWeb集客を図る際は、リスティング広告の活用も視野に入れたいもの。
Googleを始めとする検索エンジンで、事務所の関連キーワードが上位表示されるよう、適切な出稿設定を行います。
スマートフォン対応のランディングページを用意し、発生した流入をダイレクトに問い合わせにつなげることを目指します。
キーワード選定にあたっては、競合事務所の動向もしっかりとチェック。
地域名や専門分野など、検索ニーズをより反映したフレーズを盛り込むことで、広告の効果は一段と高まるはずです。
こうしたネット集客の施策は、人海戦術とはひと味違う利点があります。
Webサイトという営業マンの働く受け皿さえ用意しておけば、人的コストをかけずに見込み客を集められるのです。
潜在顧客との接点を24時間保ちながら、効率的な問い合わせ獲得を目指せるでしょう。
対面営業とネット集客、二つの販路を併せ持つことで、司法書士事務所の案件獲得力は飛躍的に高まります。
人の力とテクノロジーの力、それぞれの良さを活かしながら、ハイブリッド型の営業活動にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
司法書士事務所の成長を加速させる原動力となるはずです。