
司法書士の開業場所はどこが適している?場所ごとのメリット・デメリットを解説!
司法書士として独立開業を考えたとき、「どこで開業すべきか」という点で悩む方も多いのではないでしょうか。
開業する場所によって、お客様を集めやすいかどうか、仕事の効率が良くなるかどうかが変わってきます。
そのため、場所選びは慎重に比較検討し、自分にとって最適な選択をすることがとても大切です。
この記事では、司法書士が開業する際に場所選びで押さえておきたいポイントや、場所ごとのメリット・デメリットについて、わかりやすく説明していきます。
司法書士の開業場所ごとのメリット・デメリット

司法書士として独立して開業する際には、事務所をどこに構えるかが重要なポイントです。
開業場所は、次のように「都市部」と「地方」とに分けて考えられ、それぞれに異なる特徴があります。
- 都市部で開業する場合
- 地方で開業する場合
それぞれの違いをよく理解し、自分に合った選択ができるようにしていきましょう。
以下からは、2つの開業方法それぞれについて詳しく解説します。
都市部で開業する場合
まずは、都市部で開業する場合のメリットとデメリットを順に見ていきましょう。
都市部で開業するメリット
都市部で開業する場合のメリットとして、下記のような内容が挙げられます。
- 司法書士のニーズが高い
- 幅広い業務の依頼が見込める
- 事務所の成長スピードが高い傾向にある
- 他士業や関係者とのネットワークの構築がしやすい
都市部は人口が多く、企業活動や不動産取引も活発なため、司法書士のニーズが高いエリアです。
たとえば、相続登記や、会社の設立手続きなど、幅広い業務の依頼が期待できます。
また、たくさんの案件をこなすことで事務所を早く成長させることができたり、弁護士や税理士など、ほかの専門家とのネットワーク(人脈)を築きやすくなったりする点も、都市部ならではの強みです。
都市部で開業するデメリット
都市部で開業するデメリットは、下記の通りです。
- 競合が多い
- 事務所の賃料や人件費等の固定費が高い
都市部には、司法書士事務所がすでに多く存在しているため、仕事を獲得するための競争が激しくなります。
開業して間もない事務所の場合、実績のある事務所に比べて新規の依頼を得るのは簡単ではありません。
そのため、単なる実績だけではなく、自分の強みを明確に打ち出し、差別化を図る工夫が必要になります。
また、都市部は地価(土地の値段)が高いため、事務所を借りる費用や従業員を雇う人件費も高くなりがち。
こうしたコスト負担をしっかり見積もっておかないと、資金繰りが厳しくなるリスクもあります。
地方で開業する場合
続いて、地方で開業する場合のメリットとデメリットを解説していきます。
地方で開業するメリット
地方で開業するメリットとして、下記の内容が挙げられます。
- 競合が少ない地域も多い
- 地域密着型で顧客からの信頼を得やすい
- 賃料や人件費等の固定費を抑えやすい
- 地域住民とのつながりで口コミや紹介で案件を得やすい
地方では、都市部に比べて司法書士事務所の数が少ないこともあるため、競争がそれほど激しくない地域もあります。
また、地域に密着して活動することで、住民の信頼を得やすくなり、口コミや紹介で仕事が増えるケースも考えられるでしょう。
事務所を借りる費用やスタッフを雇うための人件費も比較的安いため、固定費(毎月かかる費用)を抑えながら、安定した運営がしやすくなります。
地方で開業するデメリット
地方で開業するデメリットは下記の通りです。
- 人口が少なく、依頼件数自体が限られる
- 需要のある業務の幅が狭い可能性がある
地方では人口が少ないため、そもそも依頼自体が少なくなることが考えられます。
また、都市部と違って、扱う業務の種類も限られてくることがあり、特定の分野の仕事だけに頼らざるを得ない場合もあるでしょう。
特に、若い世代の人口が減少している地域では、将来的に依頼がさらに減っていく可能性もあります。
そのため、地方で開業する場合は、インターネットを使った広域集客なども積極的に行い、なるべく広い範囲から依頼を受けられる体制を整えることが大切です。
司法書士の開業時のオフィススタイル

司法書士として独立開業する際には、事務所を構える場所だけでなく、どのようなスタイルでオフィスを構えるのかも考えなければなりません。
司法書士のオフィススタイルとして、主に下記の形態が挙げられます。
- テナント(賃貸事務所)
- 自宅
- レンタルオフィス
- 他士業との共同オフィス
以下からは、それぞれのオフィススタイルの特徴を見ていきましょう。
テナント(賃貸事務所)
司法書士の開業時のオフィススタイルとして一般的なのが、賃貸物件を事務所にすることです。
メリットとしては、独立した空間を確保できるので、顧客からの信頼を得やすいことなどが挙げられます。
また、立地を工夫すれば、交通の便が良い場所に事務所を設けられ、集客にもつながりやすくなります。
さらに、オフィスの内装やデザインを自由にカスタマイズできるため、自分のブランドイメージをしっかり作ることも可能です。
一方で、毎月の家賃や共益費がかかるほか、敷金(保証金)や礼金(契約時に支払うお金)といった初期費用も必要になります。
加えて、物件探しや契約、内装工事などに時間と費用がかかるため、余裕を持った資金計画とスケジュールを立てて準備することが大切です。
自宅
家賃や光熱費を事業と共用できるので、初期費用や運営にかかる基本的なコストを大幅に抑えやすい点がメリットです。
また、通勤が不要になるので時間的に余裕が生まれ、効率的に仕事ができるようになります。
育児や介護など、プライベートとの両立がしやすいのはもちろん、不安定になりがちな独立開業直後のリスクを抑えやすい点も利点です。
しかし、自宅開業にはデメリットもあります。
たとえば、顧客との打ち合わせ時にプライバシーの確保が難しい、仕事と生活の切り替えがうまくいかない、などの課題が挙げられます。
また、賃貸事務所に比べて事務所としての「見た目の信頼性」がやや劣る可能性もあるため、顧客へのアピール方法に工夫が必要です。
レンタルオフィス
レンタルオフィスとは、共有のスペースにデスクや会議室などの設備が整っており、短期間から借りられるオフィスサービスのことです。
初期費用を抑えながらスピーディーに開業できるため、特に資金に余裕がない場合や、柔軟に動きたい場合に適しています。
レンタルオフィスの中には、住所利用や法人登記(会社を正式に登録する手続き)も可能なところもあり、開業手続きもスムーズに進められるのがメリットです。
ただし、他の利用者とスペースを共有するため、静かな環境が必要な仕事や、顧客との機密性の高い打ち合わせには不向きな場合があります。
また、オフィスとしての「ブランド力」や「信頼感」を築きにくいことも考慮すべき点です。
他士業との共同オフィス
弁護士や税理士、行政書士など、他の士業とオフィスを共同で使用するといった開業方法もあります。
この場合、家賃や水道光熱費をシェアできるため、コストを抑えながら運営できる点がメリットです。
あた、他士業との連携によって業務範囲を広げたり、相互に顧客を紹介し合ったりできるため、事務所の成長にもプラスに働きます。
士業各社によるワンストップサービス(複数の手続きをまとめて提供するサービス)を実現できれば、顧客にとっても個別に依頼するよりも大きなメリットとなり、「選ばれる事務所づくり」に役立ちます。
ただし、共同で運営する以上、他士業との関係がうまくいかない場合には、トラブルに発展するリスクもあるため、あらかじめ役割やルールをはっきりと決めておくことが重要です。
司法書士の開業場所を選ぶ際のチェックポイント
司法書士の開業場所を選ぶ際に意識したいポイントは、次の通りです。
- ターゲット層
- 交通アクセスの利便性
- 競合の状況
- コストバランス
以下からは、開業場所を選ぶときに必要な、各4つの項目それぞれについて、詳しく解説していきます。
ターゲット層
まず、意識したいのが「どのような顧客をターゲットにするか」という点です。
たとえば、不動産登記や企業法務を中心に顧客を獲得したい場合は、不動産業者や企業が集まるエリアに開業することが適しています。
一方、相続や遺言、成年後見などの個人向け業務を中心にしたい場合は、高齢者が多い住宅地や地域密着型のエリアが有利になります。
自分が得意とする分野に合わせて、ターゲット層を見据えた開業場所選びを行いましょう。
交通アクセスの利便性
顧客にとって「通いやすい場所」であるかどうかも大切な要素です。
駅から近い、バスなど公共交通機関が便利、といったアクセスの良さは、顧客が事務所を訪れるハードルを下げます。
また、自分自身の移動効率も良くなり、日々の業務をよりスムーズにこなせるようになります。
特に都市部では、「最寄り駅から徒歩圏内かどうか」が開業後の成功と失敗を左右するポイントとなるため、慎重に検討しましょう。
競合の状況
開業を考えているエリアに、どれだけ他の司法書士がいるかも、事前にリサーチしておくべきです。
すでに司法書士が多く存在する地域では、当然ながら新しく顧客を獲得する競争が厳しくなります。
ただし、「競合が多いエリア=需要が高いエリア」という図式も、可能性としては見逃しがたいもの。
単純に競合が激化しそうなエリアを避けるのではなく、「自分の強みを活かして差別化する」「専門分野に特化する」など、戦略的な開業を検討することが成功への近道になります。
コストバランス
開業場所によって、事務所の家賃をはじめとした固定費は変わります。
立地が良ければ集客面で有利になりますが、その分賃料も高くなります。
一方、コストを重視して安いエリアを選んでも、集客力が落ちてしまうかもしれません。
そのため、家賃などの支出と、得られる売上や利益とのバランスをきちんと見極める必要があります。
「家賃に見合うだけの集客ができるかどうか」という視点で、開業場所を慎重に判断しましょう。
司法書士の開業が成功しやすい立地の特徴

司法書士として独立開業する際、どこに事務所を構えるかは、開業後の成功に影響します。
特に、以下の3つの特徴を備えた立地は、開業に適しているといえます。
- 他士業が集まるエリア
- 住宅地・ベッドタウン
- 企業が多いエリア
以下からは、こうした立地それぞれを深く見ていきましょう。
他士業が集まるエリア
弁護士、税理士、行政書士など、他の士業(専門的な資格を持つ職業)が集まる地域は、司法書士にとっても有利な立地です。
たとえば、相続に関する案件では、弁護士と連携して対応したり、会社設立の手続きでは税理士や行政書士と協力したりすることができます。
このように、他士業との連携が取りやすいエリアでは、案件の紹介を受けるチャンスが増え、集客の幅も広がります。
また、ワンストップサービス(複数の手続きを一括で提供するサービス)を実現しやすくなり、顧客にとってもメリットとなるため、信頼度向上にもつながるでしょう。
住宅地・ベッドタウン
住宅地やベッドタウン(都市近郊の住宅地)は、個人向け業務を中心に行いたい司法書士に適した立地です。
特に、高齢化が進んでいる地域では、相続、遺言、成年後見制度に関するニーズが高まっており、安定した需要が見込めます。
また、地域に根ざした司法書士事務所は、口コミや紹介で案件が広がりやすくなります。
駅前や大型商業施設の近くに事務所を構えれば、さらにアクセスの良さを活かして集客力を強化できるでしょう。
企業が多いエリア
オフィス街や工業団地といった企業が集まる地域も、司法書士にとって魅力的な開業場所です。
こうしたエリアでは、会社設立支援や、各種登記手続きといった法人向けの案件が多く、安定的な依頼が期待できます。
また、一度取引が始まれば、企業との長期的な関係を築ける可能性があり、売上の安定にもつながります。
特に、起業支援が盛んな地域では、新しく事業を始める企業をターゲットにすることで、積極的な案件獲得が可能です。
司法書士の開業場所に関するよくある質問
ここからは、特に多くの方が疑問に感じる次の二つの質問について、わかりやすく回答していきます。
- 自宅開業でも成功できる?
- 司法書士事務所の場所は変更できる?
以下からは、それぞれの疑問について、詳しく回答していきます。
自宅開業でも成功できる?
結論からいうと、司法書士として自宅開業でも十分に成功することは可能です。
自宅開業は、事務所を借りる費用を抑えられるため、開業時にかかる初期コストを大幅に減らせるところがメリットです。
また、通勤が不要になるため、時間を有効に使うことができ、家庭との両立も比較的しやすくなります。
ただし、課題もあります。
たとえば、顧客との打ち合わせスペースをどう確保するか、事務所としての信用力をどのように高めるか、という点が問題になりやすいです。
士業にとっては「信用」が特に重要なため、自宅開業でも顧客に安心感を与える工夫が欠かせません。
具体的な対策としては、バーチャルオフィス(住所だけ借りられるサービス)を利用したり、レンタル会議室を活用して、打ち合わせ専用スペースを確保する方法が挙げられます。
また、自分が狙うターゲット層や、提供するサービス内容によって、自宅開業が向いているかどうかを慎重に判断することも必要です。
司法書士事務所の場所は変更できる?
司法書士事務所の場所は、開業後でも変更することが可能です。
ただし、事務所を移転する際には、以下のようにいくつかの手続きが必要になります。
- 司法書士会への届出
- 法務局への届出
- 顧客や取引先への移転通知
- ホームページや広告媒体の情報更新
こうした手続きを確実に行わなければならないため、事務所移転には一定の時間と労力がかかります。
また、移転に伴い、顧客に対してしっかりと新しい住所を周知しないと、信頼関係に影響を与える可能性もあるため注意が必要です。
とはいえ、立地を変えることで集客力が高まったり、業務効率が上がったりすることもあります。
事務所の移転は、事務所の成長戦略の一環として、有効に活用できる可能性もあるのです。
司法書士の成功には開業場所選びが重要
今回は、司法書士として独立開業を目指す際に欠かせない「開業場所選び」について、詳しく解説しました。
開業場所は、単なる「住所」や「拠点」としての意味だけでなく、集客力、業務効率、さらには事務所の信頼性にも大きく影響します。
都市部での開業には、人や案件が多く成長スピードを上げやすいメリットがある一方で、競争が激しいというデメリットもあります。
逆に、地方での開業は競合が少なく、コストを抑えやすい反面、依頼件数が限られる可能性がある点に注意が必要です。
また、テナント(賃貸事務所)、自宅、レンタルオフィス、他士業との共同オフィスといったオフィススタイルの選択も、経営方針やライフスタイルに応じて慎重に決めなければなりません。
立地選びでは、ターゲット層、交通アクセス、競合状況、コストバランスなど、多角的な視点から比較検討することが重要です。
さらに、開業後も必要に応じて事務所の場所を見直す柔軟性を持つことで、より良い経営環境を作り出すことが可能になります。
ただし、立地を工夫しただけで成功できるわけではありません。
都市部でも地方でも、積極的な営業活動や集客対策、とくにインターネットを活用したWeb集客の取り組みが欠かせない時代です。
Web集客、特にSEO対策やネット広告運用は高度な専門知識が求められるため、自己流では成果が出にくいことも事実です。
そのため、Web集客をプロに任せる選択肢も検討すべきでしょう。
当社ドットアンドノードでは、司法書士の集客に特化したWebマーケティング支援を行っています。
司法書士として本業に集中しながら、安定した顧客獲得を目指すなら、ぜひお気軽にご相談ください。