司法書士は独立しても仕事がない?現状と稼げる司法書士になるための施策
司法書士として独立を目指す際、多くの方が抱く不安の一つが「開業しても仕事はあるのだろうか」という点ではないでしょうか。
実際、独立開業後は安定した仕事を得るのが難しいと感じる方も少なくありません。
しかし、正しい戦略とスキルを身につけることで、着実に収入を得ることが可能です。
この記事では、「司法書士は仕事がない」といわれる原因と、稼げる司法書士になるための施策を紹介します。
司法書士業界の現状
「司法書士の仕事は減っているのではないか」と感じる方は少なくありません。
その背景には、司法書士には定年がなく、資格保有者が増え続ける一方で、人口減少が進んでいることが挙げられます。
そのため、司法書士の数は増えているものの、「それに見合う需要を確保できるのか」という不安を抱く声が広がっています。
実際、司法書士の業務の中でも登記関連の仕事を見ると、平成21年から令和5年にかけての登記事件総数は増減を繰り返しながらも、全体としては減少傾向です。
とはいえ、登記件数の減少がそのまま司法書士の業務全体の縮小につながるわけではありません。
司法書士に求められる業務の範囲は広く、仕事の需要も依然として高い水準を維持しています。
そのため、「試験に合格しても仕事がない」といった状況に陥ることはほとんどないといえるでしょう。
ただし、司法書士が独立して仕事をしていくとなると、自身の強みや実績をアピールしたり、効果的に集客をしていくことが不可欠です。
「司法書士は仕事がない」と言われる理由
「司法書士は仕事がない」と言われる理由としては、以下の点が挙げられます。
- AIによる業務の自動化
- 人口減少と共に仕事の依頼が減少
- 低収入の司法書士が存在する現状
それぞれ詳しく解説します。
AIによる業務の自動化
AIの発展によって多くの業界で業務の自動化が進むとされており、司法書士の業務もその影響を受ける可能性が懸念されています。
特に登記業務はAIに代替される可能性が高いと指摘されることが多いようです。
確かに定型的な登記申請であればAIで処理できる部分もあります。
しかし、登記業務の多くは、単なる書類のやり取りにとどまりません。
たとえば、不動産の相続登記では相続人の数が1人や2人なら比較的単純ですが、代々相続が発生し、相続人が十数名に及ぶケースもあります。
その場合、戸籍謄本を取得して相続人を確定する必要がありますが、戸籍は各本籍地の役所で発行されるため、日本全国の役所とやり取りしなければなりません。
また、被相続人が遺言を残している場合は、その内容を精査し、相続か遺贈か、誰に何を引き継がせるのかを確認する必要があります。
さらに、相続人が海外に居住している場合は国外の相続人と連絡し、書類の手続きを進めていきます。
このように、相続登記一つを取ってみても司法書士の業務は単純な書類作成にとどまらず、高度な調整力やコミュニケーション能力が求められるものです。
そのため、司法書士の仕事をAIで完全に代替するのは難しいといえます。
人口減少と共に依頼が減少
不動産登記の件数は年々減少傾向にあり、登記業務を主軸とする司法書士にとっては、限られた案件を巡る競争が激しくなっているのが現状です。
しかし、司法書士の仕事は時代の変遷とともに広がりを見せています。
登記業務が減る一方、成年後見をはじめ、財産管理、民事信託などの新たな分野が台頭し、特に成年後見業務は需要が高まっています。
この業務は営業力を必要とせず、安定した依頼が見込めるため、登記業務ではなく後見業務を中心に活動する司法書士も増えてきているようです。
低収入の司法書士の存在
司法書士の中には高収入を得ている人が多くいる一方で、収入が安定せず、低収入に悩む方もいます。
そのため、「司法書士は稼げない」といったネガティブなイメージが広まることがあります。
しかし、司法書士は国家資格を持つことで独占業務が認められており、誰でも簡単に参入できる職業ではありません。
そのため、競争相手が限られているという大きな強みがあります。
厳しい言い方をすれば、司法書士としての収入が低い人は、この有利な環境の中でも成果を出せていないということになり、仮にほかの職業に転職しても成功するのは難しいかもしれません。
ただし、どの業界にも高収入の人と低収入の人がいるのは当然のことであり、収入の差は個々の努力や営業力、業務の選択によって生じるものです。
「司法書士は仕事がない」は間違い!
実際、司法書士の仕事がないケースは多くはありません。
その根拠として、以下の理由が挙げられます。
- 希少性が高い
- 収入は決して低くない
- 業務は多様化している
- 他業種より廃業率が低い
それぞれについて解説します。
司法書士の仕事は希少性が高い
司法書士は、日本でもトップクラスの難しい資格の一つです。
試験の合格率は非常に低く、多くの受験者が合格までに長い年月を要します。
実際に、令和2年度の司法書士試験では、合格者の平均年齢が40歳を超えていました。
このことからも、司法書士として働ける期間には限りがあることがわかります。
資格に年齢制限はありませんが、引退や事務所・企業の規定により退職する人も多く、司法書士の数が急激に増加することはないと考えられています。
そのため、司法書士は希少性が高く、その仕事が完全になくなることは考えにくいです。
司法書士の数は2024年4月1日現在、23,156人であり、弁護士(約40,000人)や税理士(約80,000人)と比較しても少ないことがわかります。
また、司法書士の資格を取得した後、独立開業を選ばずに企業や事務所に就職する場合でも、合格者の数が少なく資格の希少性が高いため、就職先が見つからず困るケースはほとんどありません。
特に司法書士の業務を扱う法律事務所や不動産会社、金融機関などでは、専門知識を持つ人材の需要があり、資格を活かして働ける環境が整っています。
参考:厚生労働省「jobtag 司法書士」
司法書士の収入は決して低くない
司法書士の年収は決して低い水準ではありません。
専門性の高い業務を担える希少な資格であるため、企業や事務所に所属すれば、平均を上回る収入を得ることが期待できます。
厚生労働省の調査によると、令和5年時点の司法書士の平均年収は1,121.7万円と報告されています。
また、日本司法書士会連合会の令和3年の調査では、独立開業した司法書士の売上金額で最も多い層は1,000万円~4,999万円で、全体の35%を占めていました。
日本人の平均年収は約460万円で、年収1,000万円を超える人の割合が約5.5%であり、司法書士の収入は決して低いとはいえません。
独立開業した司法書士の年収は人によって大きく異なります。
多くの顧客を抱える司法書士事務所の場合、高収入を得ることも十分可能です。
もちろん、独立にはリスクも伴いますが、失敗の要因を事前に理解して事業を軌道に乗せることができれば、高収入と働きやすい環境の両方を手に入れられるでしょう。
しかし、顧客のいない状態で開業した司法書士や、すでに司法書士事務所が多く競争が激しい地域で開業した場合、企業に勤務する司法書士と比べて、収入が伸び悩むこともあります。
参考:日本司法書士会連合会「司法書士白書 2021年版」
参考:MUFJ「年収1,000万円稼ぐ人の割合は?手取りや生活レベル、職業を解説」
司法書士の業務は多様化している
以前は司法書士の仕事といえば主に登記申請が中心でしたが、今では業務の幅が広がり、たとえ登記の件数が減っても仕事がなくなる心配はほとんどありません。
たとえば、司法書士の資格に加えて「簡裁訴訟代理等能力認定考査」に合格し、法務大臣の認定を受ければ、簡易裁判所で扱う140万円以下の請求事件などの代理業務ができます。
弁護士ではなく司法書士に依頼するケースも多く、需要は十分にあるでしょう。
また、高齢化が進むなかで、遺言書の作成や成年後見、民事信託といった相談も増えていくと考えられ、司法書士が活躍できる分野は今後ますます広がっていくといえます。
司法書士は他業種より廃業率が低い
司法書士は、ほかの職業に比べて廃業する人が少ないといわれています。
その理由の一つが、不動産登記や商業登記など、社会にとって欠かせない仕事が多く、景気に左右されにくいため、安定したニーズが続くことが挙げられます。
また、開業資金がそれほどかからず、営業が得意でなくても仕事を得やすいのも強みです。
たとえば、自宅で開業すれば100万円ほどでスタートでき、毎月の経費も比較的抑えられます。
また、司法書士会が主催する相談会やほかの士業からの紹介など、営業が苦手な人でも仕事につながるチャンスがあります。
司法書士の仕事は幅広く、正確な対応が求められますが、その分ニーズも高いため、廃業するリスクは低いといえるでしょう。
「仕事がない」司法書士が取り組むべき4つの施策
司法書士として長く活躍するためには、計画的なキャリアプランが欠かせません。
以下では、安定した仕事を得られる司法書士になるための4つのポイントをお伝えします。
専門知識を深める
司法書士として成功するためには、「専門性を高める」ことが重要です。
業務は多岐にわたりますが、相続手続きや成年後見などの特定分野に精通することで、安定した受注につながります。
専門性を磨くには、セミナーや研修で最新知識を学び、実務経験を積むことが不可欠です。
全国に23,000人以上いる司法書士のなかで選ばれるには、自分の得意分野を活かしたブランディングが重要になります。
得意分野をアピールし、実績を積み重ねることで信頼を獲得することで、ほかの司法書士との差別化を図れます。
「成年後見人制度に強い」「相続に詳しい」など専門性を明確にすることで、関連業務を一括で受けられる可能性も高まり、より安定した経営につながるでしょう。
同業者とのネットワークを築く
同業者とのつながりを築くことも、司法書士として成功するために欠かせません。
司法書士の仕事は、同業者からの紹介で成り立つことも多いため、日ごろから信頼関係をしっかりと構築しておくことが重要です。
たとえば、司法書士会の勉強会や交流会に参加すれば、自然と同業者とのつながりが深まります。
また、自分の得意分野をアピールしておけば、その分野の案件を紹介してもらえるチャンスが増えるでしょう。
司法書士の中には特定の業務に特化している人も多く、お互いに案件を紹介し合うケースは珍しくありません。
そのため、日ごろから同業者と信頼関係を築き、協力体制を整えておくことが安定した仕事につながる重要なポイントといえます。
複数の資格を取得する
ダブルライセンスを取得することで、司法書士の業務の幅を広げることができます。
不動産や行政書類に特化するために、宅建士や土地家屋調査士、行政書士を取得することもおすすめです。
これらの資格試験は司法書士試験と重なる部分が多いため、比較的学びやすいはずです。
特に「行政書士」や「宅建士」などの資格は相性が良く、これらを併せて取得すれば、登記手続きに加えて営業許可申請なども扱えるようになります。
複数の資格を活かせば、顧客の多様なニーズに応えられ、仕事の機会が増えるでしょう。
また、簡裁訴訟代理等能力認定を受ければ、簡易裁判所の案件を扱える専門家として活躍できます。
司法書士の資格を持っていればすでに専門職として認められますが、より多くのニーズに応えるためには、特定の分野に特化して専門性を深めることが重要です。
マーケティングスキルを身につける
実務経験を積んでいても仕事が得られない場合、営業力の不足が考えられます。
開業前に具体的な集客計画を立て、以下の方法を活用していきましょう。
- ホームページやサイトでの情報発信
- SNSでの発信
- YouTubeの活用
- ポスティング
- セミナー開催
- 交流会に参加
営業活動には足を使うことも大切ですが、ホームページやSNS、YouTubeなどのWebを通じた情報発信も効果的です。
初期費用や固定費が少なく、効率よく多くの人にアピールできます。
「仕事がない司法書士」から脱却!マーケティング施策で成功への一歩を踏み出そう
司法書士として安定した仕事を得るには、マーケティング施策が重要です。
専門性のアピールや信頼感のある情報発信を行い、自分の強みを効果的に伝えましょう。
SNSやホームページを活用して幅広い層にリーチすることで、依頼者との接点を増やせます。
特に地域密着型の施策は、長期的な信頼関係の構築に有効です。
マーケティングスキルを磨くことで、「仕事に困らない司法書士」として活躍できる可能性が広がります。
ドットアンドノードは、集客や売上向上を目指す戦略的なプランを提供しており、数多くの成功事例を誇ります。
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